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うつ病で休職・退職したときに傷病手当金をもらうメリット・デメリット・申請方法・受給条件等のまとめ

もしうつ病で仕事ができなくなったら、生活費に困ってしまいますよね。

そんなときは傷病手当金の活用がおすすめですよ。

給料の約67%が支給される傷病手当金があれば、鬱の治療だけに集中できるからです。

今回はうつ病で休職・退職したときに傷病手当金をもらうメリット・デメリット等について解説していきます。

傷病手当金とは病気で働けなくなった被保険者への保障制度

傷病手当金とは、病気で仕事ができなくなった被保険者に対して、生活費を支給する制度です。

病気、怪我、精神障害で就労不能状態になったとき、このような制度はありがたいですよね。

もちろん働けないほど体調が悪くなるのは避けたいですが、いざというときに安心です。

傷病手当金と労災の違い

傷病手当金の活用を検討するとき、「労災との違いはなんだろう?」と疑問になりますよね。

病気等で働けなくなったときの生活費を支給してもらえる点では共通していますが、その支給金額や期間、受給条件については大きく異なります。

労災は労災保険による休業補償で、傷病手当金は健康保険による給付金のこと。

労災の支給金額が給与の80%であるのに対し、傷病手当金は約67%と金額的には少ないですが、そのぶんすぐに支給がスタートするメリットがあります。

労災については以下の記事で詳しく解説していますよ。

働く意欲があるなら、失業保険をもらう選択肢もあります。

傷病手当金の受給条件

傷病手当金の受給条件は以下の通りです。

1.業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

2.仕事に就くことができないこと

3.連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

4.休業した期間について給与の支払いがないこと

引用元:全国健康保険協会

傷病手当金には「うつ病で会社を休んだときにもらえるもの」というイメージがありますが、実は満たすべき条件がいくつかあるんですよね。

鬱症状がひどいときは会社を休むときもあるでしょうから、3日以上出社できなかったときはちゃんと覚えておきましょう。

そして、休職もしくは退職したときに、会社のほうから「傷病手当金を申請したら?」と言ってくれることは稀なので、自分自身で記録しておき、会社に協力してもらうことが大切です。

有給休暇を使用した病気療養は受給対象にならない

傷病手当金の受給条件に「連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと」という項目がありますが、1つだけ注意したいことがあります。

それは有給休暇を使用した期間は給付対象にならないこと。

なぜなら「仕事に就くことができないこと」と「休業した期間について給与の支払いがないこと」も条件に含まれますので、給与が発生している有給休暇は除外されるからです。

うつ病で会社を休むときは、ぜひ注意してください。

傷病手当金の申請方法

傷病手当金は自分で申請できます。

申請方法の流れは以下の通り。

  • 傷病手当金支給申請書をダウンロード(全国健康保険協会のサイトから
  • 担当医師に就労不能である旨を証明・記入してもらう(診断書は不要)
  • 事業主に会社を休んだこと・給料の支払いがなかったことを証明・記入してもらう
  • 全国健康保険協会に提出

就労不能状態であることを担当医に証明してもらうには、証明料として医療費全額負担なら1,000円、3割負担なら300円がかかります。

また、傷病手当金の申請にはうつ病の診断書は不要ですが、もし何らかの理由で必要な場合は病院ごとに定められた発行料が別途必要です。

そして、会社を休んだことを事業主に証明してもらうときに「◯月◯日〜◯月◯日に休みました」と正確に言えるのが理想的ですから、連続3日以上会社を休んだときは、ちゃんと記録しておきましょう。

次に傷病手当金のメリットを解説しますね。

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傷病手当金のメリット

傷病手当金をもらうことには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

1つずつ解説していきます。

申請から約1ヶ月で支給がスタートする

申請後、約1ヶ月で支給がスタートするのは大きなメリットです。

たとえばセクハラやパワハラが原因でうつ病になった場合は「労災」の休業補償をもらう選択肢もありますが、労災は申請から半年〜1年後に認定されるのが一般的です。

仕事ができない状態で生活を維持するのは大変ですから、すぐにお金をもらえたら安心ですよね。

給与の約67%が支給される

傷病手当金の支給額は、給与の約67%(3分の2)です。

具体的な計算方法は以下の通り。

1日当たりの金額:【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)

引用元:全国健康保険協会

上記に当てはめて計算すると、月給36万円の場合は「1日あたり8,000円」に、月給26万円の場合は「1日あたり5,780円」ですね。

これに1ヶ月の日数をかけ、月給を計算してみてください。

もちろん仕事をしているときよりも収入は減りますが、生活費は十分にまかなえると思います。

支給期間は最長1年6ヶ月・治療だけに集中できる

傷病手当金の支給期間は最長1年6ヶ月ですから、この期間はお金の心配をせずに、治療だけに集中できるでしょう。

ぼくもそうでしたが、何も心配せずに療養したいのは山々ですが、やっぱりお金の不安はありますからね。

時効が2年ある

傷病手当金は、時効が2年あるのも大きなメリットです。

休職もしくは退職するような状態で時効を気にするのは稀だと思いますが、病気等の理由で会社を休んだ場合、2年以内なら請求が可能です。

繰り返しになりますが、有給休暇を使った期間がカウントされない点には注意してくださいね。

出産手当金との併用も可能(差額分のみ)

出産のために会社を休んだときは、出産の42日前から出産翌日からの56日目まで、健康保険から「出産手当金」が支給されます。

平成28年3月までは出産手当金と傷病手当金を同時に受給することはできませんでしたが、平成28年4月からは併用が可能になりました。

ただし、これは以下に該当する必要があります。

出産手当金の額が傷病手当金の額よりも多ければ、その差額を支給することになります。

引用元:全国健康保険協会

比較的高い年収をもらっている場合は、傷病手当金の差額のみ支給される可能性がありますので、きちんと計算してみてくださいね。

考えたくはないことですが、女性の場合は妊娠・出産の影響でうつ病になる可能性がありますので、しっかりと予防と対策をしていきましょう。

次に傷病手当金のデメリットを解説します。

傷病手当金のデメリット

傷病手当金には、どのようなデメリットがあるのでしょうか?

メリットとデメリットが表裏一体になっている項目もありますので、1つずつ解説していきますね。

受給期間を過ぎたら就労不能状態でも支給は不可

傷病手当金の受給期間は1年6ヶ月あります。

これを「長い」と感じるか、「短い」と感じるかは人それぞれですが、精神疾患を患った人によっては決して長くはないでしょう。

数年〜10年単位で治療を続ける人もいるほど、うつ病は重い病気ですからね。

傷病手当金は1年6ヶ月を過ぎたら、たとえ就労不能状態であっても支給がストップしてしまいます。

この期限をプレッシャーに感じず、強い決意で克服していきましょう。

休職・退職後に会社と連絡を取る必要がある

傷病手当金の受給手続きには会社の証明が必要です。

仕事が原因でうつ病になったときは、会社とはできるだけ距離を置きたいと考えているでしょうから、人事や総務の担当者に連絡することがストレスになるかもしれません。

ただし、やり取り自体はすぐに終わりますので、迅速に手配していきましょう。

生命保険に加入しづらくなる場合がある

これはあくまでもケースバイケースですが、傷病手当金の給付を受けた後は、生命保険に加入しづらくなる場合があります。

保険に加入するときは、病歴や給付金をもらっていた時期を調べられますので、審査に影響してしまうようですね。

もちろん保険会社や商品にもよりますが、もし保険に加入するなら傷病手当金の受給前にしたほうが無難です。

参考サイト:うつ病と診断されたら生命保険に加入できないんですか?

国民健康保険には傷病手当金の制度がない

傷病手当金は全国健康保険協会(協会けんぽ)の制度なので、国民健康保険に加入している自営業者などには適用されません。

ぼくも今はフリーランス(個人事業主)なので、自分の身を自分で守る必要があるのです。

うつ病を克服して2年経過しますが、再発防止は今でも継続していますよ。

転職活動への影響は?

うつ病が回復したら、元の会社に復職するか、転職するかたちで社会復帰すると思います。

もし転職を視野に入れているなら、「傷病手当金をもらった記録が転職に影響するのでは?」が心配ですよね。

転職先に病歴がバレたら白い目で見られたり、最悪の場合は解雇されるかも…。

これについてもケースバイケースですが、知人たちの体験談によると基本的には心配ないようです。

もちろん何らかの拍子に病歴を知られる可能性はゼロではありませんが、会社からの問い合わせに対して全国健康保険協会が個人情報をオープンにすることはありません。

完治していれば、転職の面接時にあえて鬱の経験を伝える必要もないので、聞かれたら答えるというスタンスで良いでしょう。

うつ病で働けなくなったときは、傷病手当金をうまく活用してくださいね。

ぼくには苦い経験がありますので…。

ぼくは会社を退職して失業保険をもらいました

実はぼくはうつ病で働けなくなったとき、傷病手当金をもらえなかったんです。

うつ病が発覚した3週間後に会社を辞めましたので、引き継ぎなどでその間は一度も会社を休みませんでした。

つまり傷病手当金の「連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと」という受給条件を満たせなかったんですよね。

もっと早く制度について勉強し、うまく活用するべきでした…。

労災を申請するつもりは全くなかったため、結局は失業保険をもらうことにしたのです。

「会社を辞めるべきタイミング」については以下の記事で解説しています。

鬱の診断書があれば給付制限期間が免除される

失業保険を申請時にうつ病の診断書を提出したら、給付制限期間が免除されたのはありがたかったです。

通常、自己都合退職の場合の失業保険には3ヶ月の給付制限期間があり、4ヶ月目から給付がスタートしますので、この期間をショートカットできるのは大きいですよね。

もしぼくと同じような状況にあるなら、失業保険の給付制限期間が免除される仕組みをうまく活用していきましょう。

診断書のもらい方は、以下の記事で解説していますよ。

「とにかく今の会社が嫌だ……」という種類の鬱なら、職場環境を変えるのも選択肢の1つです。

新たな可能性を見つけようとしているときは、前向きになれますからね。

たとえば市場価値を無料診断できるMIIDAS(ミーダス)や、転職成功率No.1のリクナビNEXTを利用すれば、今の会社の他にも選択肢があることに気づくでしょう。

また、転職先をじっくり探したいなら、転職のスペシャリストがキャリアアップを手伝ってくれるレバテックキャリアもおすすめです。

体の調子が良くないときは、無理せず休むか、休職・退職を検討すること。

環境を変える元気があるなら、自分にとってベストな職場を見つけてくださいね。

ミラクリから一言

うつ病の支援制度については早めに知っておきましょう。

トシノリ
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