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うつ病の労災認定は可能? 認定率・休業補償のメリット・デメリットを徹底解説

パワハラ、セクハラ、長時間労働が原因でうつ病になったときは、「労災認定」も視野にいれると思います。

傷病手当金に比べて支給金額が高い労災にはメリットもありますが、注意したいデメリットも。

今回はうつ病で労災申請する前に知っておきたい基礎知識を解説します。

労災と傷病手当金の違い

まず前提として知っておきたいのが、労災と傷病手当金の違いです。

仕事ができない期間の生活費を補償してもらえる点では共通していますが、受給期間と条件、支給金額等は異なります。

簡単に説明すると、労災は労災保険による休業補償のことで、傷病手当金は健康保険による給付金のこと。

職場環境が原因で鬱になった場合は労災を、休職期間の生活費を支給して欲しいだけなら傷病手当金がおすすめです。

傷病手当金の詳しい受給条件、メリット、デメリットについては、以下の記事で解説しています。

働く意欲があるなら、失業保険をもらう選択肢もありますよ。

精神障害の労災認定要件

精神障害の労災認定要件は以下のように定められており、うつ病もこれに該当します。

1.対象疾病を発病していること

2.対象疾病の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

3.業務以外の心理的負荷及び個体的要因により対象疾病を発病したときは認められないこと

引用元:厚生労働省

とくに「対象疾病の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること」が重視されるので、その証拠を集めておくことが大切ですよ。

精神障害の労災認定率は約40%

次にうつ病の認定率を見ていきましょう。

厚生労働省が発表しているデータは、以下の通りです。

平成23年度:30.3%

平成24年度:39.0%

平成25年度:36.5%

平成26年度:38.0%

引用元:精神障害の労災補償状況(厚生労働省)

「40%未満」という感じですね。

ちょっと低いような気がしますが、労災に詳しい弁護士に依頼することで認定率は高まるようです。

うつ病が労災認定されるケース

うつ病が労災認定されるのは、「仕事のストレスが原因」だと証明できたときです。

具体的にはどのようなケースが該当するのでしょうか?

大きく3つのケースを紹介しますが、該当するからといって確実に労災が下りるわけではありませんので、その点だけ注意してくださいね。

厳しいノルマ・重すぎる責任

まずは会社から厳しいノルマや責任が課せられたときです。

あり得ないレベルの契約数を要求されたとか、従業員であるにも関わらず会社の行方を左右するような決断を任されたというケースが該当します。

過剰な責任が肩にのしかかるだけでもストレスになりますが、失敗した場合に上層部から厳しく叱責され、精神的に追いつめられることもあるでしょう。

ストレスはうつ病の大敵です。

長時間労働・過剰な残業

長時間労働や過剰な残業を強いられた場合も労災に該当します。

休日がない、または休憩時間が取れないほどの激務に追われていると、知らない間にメンタルが疲弊していきますよね。

友人や知人の会社と比べて「異常」な職場環境で働いている場合は、とくに注意してください。

セクハラ・パワハラ

上司や経営者からのパワハラ、または同僚からセクハラを受けていたような場合も労災に該当します。

セクハラやパワハラは、最も分かりやすい精神的苦痛ですよね。

本人たちには罪の意識がなくても、受けた本人のメンタルはどんどん蝕まれているのです。

このような事実がある場合は、ICレコーダーで音声を録音する、またはメールを保存するなど、早めに証拠を残しておいたほうが良いかもしれません。

労災の申請手続きは誰がするのか?

うつ病の労災申請は誰が手続きするのか?も気になりますよね。

具体的には以下の3者です。

  • 会社
  • 本人
  • 弁護士

ただし、労災を申請するわけですから、「会社」に依頼するのはかなり難しいことです。

なぜなら労災が下りるということは、自社の非を認めることになり、社会的な信用の損失につながりますので、会社としてはできたら避けたいのが本音でしょう。

ですから、うつ病の労災認定にこだわるなら「本人」か「弁護士」による手続きが現実的ですね。

ここまでは労災の基礎知識についてまとめてきましたが、次に労災による休業補償のメリットとデメリットを紹介していきます。

労災・休業補償のメリット

それでは労災による休業補償のメリットを、傷病手当金と比較しながら解説していきますね。

傷病手当金よりも支給金額が高い・給料の8割を補償

労災の支給金額は、給料の約8割です。

傷病手当金の支給金額が給料の約67%あることを考えると、金額的にメリットがありますよね。

残業代やボーナスも含めた金額で計算されますので、生活を維持するお金としては十分だと思います。

受給期間の制限がない

傷病手当金の受給期間は最長で1年6ヶ月と定められていますが、労災にはその制限がありません。

受給経験者の声を調べてみると、治療を受けている数年〜10年に渡って受給している人もいるようです。

生活費の心配をしなくても良いなら、余計なことを考えず、治療だけに専念できますよね。

労災にはこれらの魅力的なリットもありますが、デメリットについても知っておきましょう。

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労災・休業補償のデメリット

休業補償のデメリットは、かなりハードルが高い内容です。

ぼくの知人のうつ病経験者たちも、ほとんどは労災ではなく、傷病手当金を選択していましたが、その理由がわかった気がします。

認定されるまでに半年〜1年程度かかる

労災が認定されるまでには、申請してから半年〜1年の時間がかかります。

そのため、とりあえず傷病手当金を受給しながら、労災の手続きを進める人が多いようです。

傷病手当金と併用すれば生活費の心配はなくなりますが、労災認定に関する心配のタネを持ち続けることになるでしょう。

労災が逆にストレスにならないように注意してくださいね。

労災に詳しい弁護士に依頼したほうが確実だが、コストがかかる

うつ病の労災認定率が約40%であることと、会社から申請してもらうのは困難であることは前述しました。

労災の申請自体は実はそれほど難しくはありません。

申請書に直近3ヶ月の給料の金額や会社住所等を記入し、会社と主治医のサインをもらって提出するだけですから、自分でも簡単にできるでしょう。

ただ、どのような証拠をどのような形で保存するのか、または労働基準監督署や会社との交渉については、弁護士のほうが長けています。

労災に詳しい弁護士に頼んだほうが認定率は高まりますが、そのぶん費用がかかるのは否めません。

パワハラ・セクハラ・長時間労働の証拠集めが必要

労災を認定してもらうには、労働基準監督署を説得できるだけの証拠が必要です。

パワハラやセクハラならICレコーダーに保存された音声があれば有利ですし、長時間労働なら退社時間を証明できるタイムカード等も有効。

実は「メモ」にも十分な証拠能力がありますので、うつ病の原因となる出来事の詳細を記録し、当日中に家族や友人にメールしてください。

受信・送信日時が証拠になりますので、まめに記録しておきましょう。

社会保険労務士事務所のサイトにも、以下のように記述されています。

パワハラやセクハラを受けている場合には証拠を残しましょう。できれば物証がベストです。特にビデオが良いのですが、現実には非常に厳しいので、上司や同僚との会話を録音したものでもOKです。

自分で書いたメモも証拠能力があります。メモを書いたら、友人・知人・家族等にその内容をメールで送りましょう。電子メールには送信した日付・時刻が残されるので、「何月何日にどういう事件が起きたかについて記録されます」=日付が大切です。

後に労災の申請をするときに証拠として役に立ちます。

引用元:退職後も傷病手当金をもらい続けるための相談サイト

会社と闘うことになるため復職後の人間関係に影響する

労災を申請するということは、会社と闘うことを意味します。

「安全配慮義務違反」を認めさせることになりますので、会社側としては損害賠償のリスクも含めて慎重に対応するでしょう。

労災を勝ち取ることができれば、自身の生活費を獲得できるだけではなく、職場環境の改善につながるかもしれませんが、実際のところは「敵」を作ってしまうと思います。

自分たちが働いている会社にケチをつけられたような気持ちになる経営者や同僚たちもいるでしょうから、復職した後は肩身の狭い思いをするかもしれません。

解雇される心配はありませんが、居場所を失くす可能性があります。

かなり厳しいデメリットはありますが、メリットとよく比較してくださいね。

労災認定されたら傷病手当金は返還すること

労災認定には半年〜1年の時間がかかるため、まずは傷病手当金をもらうケースがほとんどだと思います。

ただ、労災が認定された場合は、これまでにもらった傷病手当金と医療費の全てを返還する必要があることを覚えておきましょう。

既に使ってしまったお金もあるでしょうから、想像以上に大変なことだと思います。

ぼくは会社を退職して、失業保険をもらいました

ちなみにぼくはうつ病で会社を退職して、失業保険をもらいました。

職場環境は素晴らしかったので、そもそも労災を申請するつもりはありませんでしたが、傷病手当金はもらいたかった…。

でも、うつ病が発覚した3週間後にドタバタと退職したため、傷病手当金の知識が不足しており、受給条件を満たしていなかったのです。

鬱の診断書があれば給付制限期間が免除される

通常であれば、自己都合で退職した場合は3ヶ月の給付制限期間があり、4ヶ月後に失業保険の支給が始まります。

しかし、ハローワークにうつ病の診断書を提出したら、給付制限期間が免除され、すぐに失業保険の給付がスタートしましたよ。

診断書のもらい方は、以下の記事で解説しています。

このあたりの知識も退職後に知ったぐらいなので、本当に大変でした。

もしうつ病で休職か退職を検討しているなら、労災と傷病手当金をうまく活用してくださいね。

また、「とにかく今の会社が嫌だ……」という種類の鬱なら、職場環境を変えるのも選択肢の1つです。

新たな可能性を見つけようとしているときは、前向きになれますからね。

たとえば市場価値を無料診断できるMIIDAS(ミーダス)や、転職成功率No.1のリクナビNEXTを利用すれば、今の会社の他にも選択肢があることに気づくでしょう。

また、転職先をじっくり探したいなら、転職のスペシャリストがキャリアアップを手伝ってくれるレバテックキャリアもおすすめです。

体の調子が良くないときは、無理せず休むか、休職・退職を検討すること。

環境を変える元気があるなら、自分にとってベストな職場を見つけてくださいね。

ミラクリから一言

仕事に関する心配事は、早めにクリアにしましょう。

トシノリ
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