睡眠不足になっていませんか?
仕事が忙しい人ほど短時間睡眠になりがちですよね。
日本では睡眠不足を「忙しさの証」ととらえ、「寝てない自慢」をする人も多いのだとか。
しかしながら睡眠不足がもたらす健康への悪影響は深刻です。
たとえばぼくが2013年にうつ病になったときも、1日4〜5時ひるね間という睡眠が原因の1つになりました。
人間は寝ている間にストレスを解消し、脳の情報を整理し、心身をメンテナンスしていますので、睡眠が不足することは大きな問題です。
今回は睡眠不足の悪影響と解消方法を紹介します。
睡眠不足の定義とは?
どのような状態を睡眠不足と定義するのでしょうか?
主には以下の4つです。
- 神経調節物質「アデノシン」が分解されていない状態
- 長く続いていた睡眠サイクルが変化した状態
- 心身の調子が悪く、睡眠不足を自覚する状態
- 医師によって睡眠不足と診断された状態
アデノシンとは、睡眠を誘発する抑制性の神経調節物質のこと。
人間が何らかの活動をすると、脳脊髄液の中にアデノシンが溜まり、眠気に襲われてしまうのです。
パソコンを使い続けていると「キャッシュ」が溜まり、処理速度が遅くなっていくのと同じですね。
ですから適切な睡眠時間を確保し、アデノシンを分解しなければなりません。
その他、「今までは1日8時間寝ていたのに、仕事の影響で1日5時間に減った」という場合も睡眠不足ですよね。
または心身の不調を自覚する、医師からそうと診断された場合も睡眠不足に該当するでしょう。
睡眠不足がもたらす健康への影響
睡眠不足が健康に与える影響は、予想以上に深刻です。
ぼくも以前までは「寝るのがもったいない」くらいに考えていましたが、うつ病を患ってからは考え方がまるっきり変わりました。
ここでは睡眠不足の健康リスクについて紹介します。
肥満・寿命などに影響する
睡眠不足は、肥満などに影響します。
具体的には以下の通りです。
- 肥満の原因になる
- 寿命に影響する
- 作業効率(生産性)を低下させる
睡眠不足によって肥満になるのは、「レプチン」という食欲抑制ホルモンよりも、「グレリン」という食欲増進ホルモンが活発になるのが原因です。
また、アメリカのカリフォルニア大学の研究によると、通常の睡眠時間が6.5~7.4時間の人の死亡率が最も低いことがわかっています。
そして、徹夜によって翌日の作業効率が低下した経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
睡眠と健康の関係性については、以下の記事でも紹介していますよ。
病気やうつ病の原因になる
睡眠不足は病気の原因にもなります。
具体的には、次のような病気です。
- 不眠症
- 睡眠障害(入眠障害・睡眠過多など)
- 高血圧
- 糖尿病
- 自律神経失調症
- 癌(がん)
- 風邪
- インフルエンザ
- うつ病
睡眠不足によって抵抗力と免疫力が低下することが、1つの原因ですね。
そう考えると、徹夜続きのときに風邪を引きやすいのも納得です。
今のところ「1日6〜7時間睡眠」が健康的である可能性
睡眠不足の健康リスクについてはわかりましたが、「じゃあ何時間眠れば良いの?」が気になりますよね。
ですが、残念ながら人間にとって「最適な睡眠時間」というものは存在しません。
ショートスリーパーでも、ロングスリーパーでも、健康な人は健康ですから、「最適な睡眠時間は人による」という身も蓋もない結論になってしまいます。
しかしながら前述の研究によると、以下のことが判明しています。
- 1日あたり6〜7時間睡眠の人が最も肥満度が低い
- 通常の睡眠時間が6.5~7.4時間の人の死亡率が最も低い
つまり今のところですが、「1日あたり6〜7時間睡眠」が健康的である可能性が高いということですね。
ただし、自分にとって最適な睡眠時間を見出すことが大切
ただし、研究結果はあくまでも参考値であって、絶対的なものではありません。
ですから最適な睡眠時間は、自分自身で見出す必要があります。
1日4時間睡眠がベストな人もいるでしょうし、最低でも1日8時間寝なければパフォーマンスが低下する人もいるからです。
毎日の睡眠時間と体調を記録し、ベストな睡眠時間を見出していきましょう。
理想的な睡眠時間の考え方については、以下の記事でも紹介していますよ。
睡眠不足を解消する方法
さて、それでは睡眠不足を解消する方法を紹介しますね。
いくつかの方法が存在しますので、できることから始めていきましょう。
午前中に日光を浴びて、セロトニンを分泌させる
人間は日光を浴びることで、「セロトニン」という神経伝達物質が分泌されます。
このセロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、幸福を感じたり、ポジティブになるための重要な物質のことです。
そして、日中に分泌されたセロトニンは、夜になると「メラトニン」という睡眠誘発物質の分泌を促すのです。
逆にいうと日光を浴びなければ、セトロニンが分泌されず、ネガティブになり、体内時計も狂うということですね。
人間も植物のような「光合成」を行っていますので、睡眠不足のときほど日光を浴びるようにしましょう。
就寝1時間前までにヨガ・ストレッチをする
就寝前のヨガ・ストレッチも効果的です。
緊張状態にある筋肉をほぐし、心身をリラックスさせることが熟睡につながるからです。
ただし、寝る1時間前までには終わらせておきましょう。
ヨガとストレッチはたしかに心身をリラックスさせますが、脳はちょっとした覚醒状態になりますので、入眠と安眠を妨げる可能性があるからです。
ぬるま湯につかって体を温める
「体が冷えすぎて眠れない」という場合もあるでしょう。
とくに冷え性の人は、秋冬は眠りが浅くなりがちですよね。
そんなときは、ぬるめのお湯につかり、体を温めてください。
体の芯から温まることで、徐々に体のスイッチが「休む」ほうに切り替わるからです。
ただし、あまりにも熱いお湯につかったり、就寝の直前にお風呂に入ると逆に覚醒してしまいますので、最低でも就寝1時間前までに済ませましょう。
就寝前に温かい飲み物を飲む
就寝前に温かい飲み物を飲み、体を温めるのも効果的です。
たとえばホットミルクとか、ハニードリンクのようなものですね。
体を温めることで、スムーズに入眠できるでしょう。
ちょっとだけ注意したいのは、カフェインを含んだ飲料です。
就寝前にコーヒーや紅茶を飲んでしまうと、カフェインが熟睡を妨げてしまいます。
ランチ後に15〜30分ほど昼寝する
睡眠不足で辛いときほど、昼寝が効果的です。
以前まで、昼寝は「怠惰の象徴」のようなものでしたが、今では仕事の生産性を高めることがわかり、多くのビジネスマンが実践しています。
スペインやアルゼンチンでは13:00~16:00までの間を「シエスタ(siesta)」と呼び、ランチ後にしばらく昼寝することで知られていますよね。
30分以上眠ると深い睡眠に入り、かえって倦怠感が増してしまいますので、昼寝は15〜30分以内を心がけましょう。
運動で体を疲れさせる
「浅い眠り」が睡眠不足の原因なら、体を動かすことも効果的です。
熟睡できないのは、頭は疲れているのに、脳が疲れていないことが原因。
たとえば1日中デスクワークをしている人は、そのような状態になりやすいでしょう。
そこで、よく体を動かしたときのことを思い出してください。
体が疲れたときは、一瞬で深い眠りに落ちるはずです。
ウォーキングやランニングを中心に、適度な運動に取り組んでみてください。
寝る直前までスマホ・タブレット・テレビを見るのを止める
寝る直前までスマートフォンやタブレット、テレビなどを見るのはやめましょう。
それらのデジタル製品のディスプレイに使われている「ブルーライト」には、脳を覚醒させる作用があります。
ベッドに入ってメールをチェックする、布団の中でSNSをやり続ける。
スマホに依存している人ほどやりがちなことですが、安眠を阻害する原因になります。
遅くとも就寝の30分前にはデジタル機器から離れ、寝る準備をしていきましょう。
SNS依存を改善したいときは、次の記事を参考にしてくださいね。
医療機関で診察を受け、睡眠導入剤を処方してもらう
心療内科やメンタルクリニックといった医療機関では、メンタルの不調に関する診察を行っています。
いくら睡眠不足だからといって、初めての人がいきなりメンタル系の病院に行くのは不安かもしれません。
ですが、睡眠不足と鬱の関係はかなり密接ですから、早めに対処しましょう。
必要に応じて睡眠導入剤なども処方してもらえますので、睡眠不足解消にも役立つはずです。
ぼくがうつ病になったときも不眠に苦しんでいましたので、睡眠導入剤にはずいぶん助けられました。
「寝だめ」では睡眠不足を解消できない
平日の睡眠不足を休日の「寝だめ」で解消しようとしているなら、ちょっと待ってください。
そもそも睡眠は貯金できるものではありませんし、寝だめによって生活サイクルを変えてしまうことのほうが、睡眠不足を悪化させる可能性があるからです。
目覚まし時計をかけずに10時間寝て、朝ごはんを食べてまた3時間ほど寝て。
「これで睡眠不足を解消できた」はずなのに、かえって体がしんどくなり、頭がぼーっとした経験はありませんか?
人間は普段の生活サイクルにそって活動、休息、消化、食欲などの機能を調整していますので、そのスケジュールが狂うと心身に大きなストレスがかかるのです。
平日と土日で生活サイクルを変えることで、体内時計も変わってしまうということですね。
寝だめは不健康ですから、できることなら普段の無駄な時間を削減し、少しでも睡眠にまわしてくださいね。
日頃から、充分な睡眠時間を確保していきましょう。
睡眠に関する記事は他にもあります!
睡眠についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてくださいね。
ミラクリから一言
どれだけ忙しくても、削減できる時間は必ずありますよ。