「完璧主義」というとカッコいいですが、本人的にはしんどいですよね。
いや、しんどいと思うこと自体、完璧主義者の思想に反しているのかもしれません。
理想が高く、妥協できない性格は、うつ病などの精神疾患の原因になると言われています。
なぜなら理想を追求するあまり、満足することが少なく、いつも自分を精神的に追い込んでしまうからです。
精神疾患にはならなくても、ストレスフルな毎日を生きることになるでしょう。
では、今よりもゆるく、うまく人を頼りながら生きていくことは可能なのでしょうか?
今回は、完璧主義の原因と対策を紹介します。
また、完璧主義者の特徴も紹介しますので、ぜひ自分と照らし合わせてみてください。
完璧主義とは?
完璧主義とは、常に完璧を目指す性格のことです。
高い目標を設定し、それに向かって自分を追い込み、徹底的に努力すること。
目標を達成できたときは「あたり前」と思うだけですが、達成できなかったときは激しく自己嫌悪する傾向にあります。
完璧を目指すあまり、他者にも厳しくする人もいるようです。
自己嫌悪したときの対処法は、次の記事で。
完璧主義は精神疾患の原因になる
完璧主義は、精神疾患の原因になると言われています。
精神疾患とは、次のようなものです。
- うつ病
- 統合失調症
- 双極性障害
- パニック障害
- 不安障害
- 強迫性障害
- 摂食障害
完璧主義と精神疾患の因果関係は科学的に解明されていませんが、推測するに、妥協できない性格がメンタルに多大なストレスを与えているのでしょう。
そのストレスが溜まりに溜まって爆発したときに、うつ病などの症状が表れてしまう。
ぼくも2013年にうつ病を患いましたが、完璧主義かというと、その傾向があるのは否めません。
今すぐセルフチェック!完璧主義者の特徴
では、完璧主義者とは、どのような人なのでしょうか?
主な特徴をまとめてみました。
- 妥協できない
- 些細なほころびを許せない(品質、納期など)
- 自分に厳しく、他者にも厳しい
- 「失敗=実力不足」と見なす
- いつもイライラしている
- 過剰にストイック
- 残業をいとわないハードワーカー
- 何事も自分でやらなきゃ気がすまない
- ストレスが溜まりやすい
常に完璧を目指すくらいですから、人格的にストイックなようですね。
人のあり方を否定することはできませんが、少なくとも「100点以外は許せない」とか、「1位以外は負け組」などと思う人生は、かなり大変そうです。
完璧主義の原因
では、なぜ完璧主義になるのでしょうか?
主な原因をまとめてみました。
理想が高すぎる
まずは理想が高すぎること。
常に高い目標を掲げるのは悪いことではありませんし、仕事の世界では必要とされる能力でもあります。
しかしながら、「常に」高い目標を掲げていては、休憩する暇がありません。
筋トレだって、毎日やっていれば筋肉は逆に萎縮してしまいます。
「緊張と弛緩」といいますが、ときにちゃんと休むからこそ、人は成長するものです。
98点取れたことよりも、2点失ったことのほうが気になるなら、注意してください。
ちなみにこれは、「イライラしやすい性格」とも共通しています。
劣等感(コンプレックス)がある
完璧主義の人には、劣等感(コンプレックス)がある場合も。
劣等感があり、常に人を見返そうと思っているから、人の何倍も努力できてしまうのです。
劣等感を力に換えられるのは素晴らしいことですが、健全とは言えないでしょう。
また、そういった負のエネルギーを利用しているときは、自然と人にも厳しくなりがちです。
だって、劣等感があるせいで、意識が自分よりも「他者」に向いているのですから。
自己評価が低いため、他者評価に依存する
完璧主義になるのは、自己評価が低いのも原因です。
自分で自分にOKを出せていないから、人の評価に依存してしまうということですね。
他者評価を得るためには、人よりも抜きに出た結果を残すしかありません。
これはあくまでも推測ですが、SNSにのめりこみ、過激なことを言ったり、ほとんど裸のような写真をアップしてまで「いいね!」を集めようとする人にも、そのような性格の人が多いかもしれません。
きちんと自分を評価できていれば、他者評価が低かろうと、堂々としていられるはずですから。
自己愛が強すぎる
完璧主義になるのは、自己愛が強すぎるのも原因です。
つまり「私は失敗をしない」とか、「トップにいる自分しか許容できない」という意識があるから、完璧主義になってしまうのです。
あまりにも自分を大切にしすぎると、周囲にも悪影響を与えてしまいます。
だって、自分自身が望む結果のために、周りの人そっちのけで頑張ってしまうのですから。
適度な自己愛は大切ですが、度をすぎると単なるナルシストです。
自意識過剰
自意識過剰も、完璧主義になってしまう原因です。
自意識過剰とは、「人目を気にしすぎている」とも言えるかもしれませんね。
「人に見られている」という強迫観念にも近い意識があるから、怠惰な姿を見せないように、失敗しているところを見せないように行動するのです。
本当は誰もそこまで気にしていないのに、人目を意識しているのですから、かなりストレスが溜まるでしょう。
自意識過剰については、次の記事でも紹介しています。
完璧主義者を脱却する方法
では、どうすれば完璧主義者を脱却できるのでしょうか?
妥協できない性格は改善できるのでしょうか?
主な対策をまとめてみました。
新しいことにチャレンジする
完璧主義者を脱却するためには、新しいことにチャレンジすること。
誰しも初めてのことを完璧にこなすことはできないため、徐々に「不完全であること」に対する免疫がつくからです。
新しいスポーツを始めたら、最初は不格好になるでしょう。
会社で新規事業を立ち上げたら、最初の数年間は結果が出ないかもしれません。
そういうときこそ、「今の状態(自分)を受け入れる」という心持ちを作るチャンスです。
慣れ親しんだことばかりではなく、未経験のことにチャレンジしてみてください。
「妥協=悪」の考え方を捨て、全力を尽くす
完璧主義者を脱却するためには、「妥協=悪」の考え方を捨てること。
もちろん最初から妥協するのは単なる怠惰ですが、ときには納期や品質、相手の要望などのバランスを取ることは大切です。
たとえば納期に間に合わないのに、完璧を目指していたらどうなるでしょうか?
上司や顧客に「あなたのこだわりなんか知らないよ」と言われるでしょう。
ときには期限に間に合わせることのほうが重要視されることもありますので、その見極めが大切。
自分の理想に届かなかったからといって、妥協したことにはならないのですから。
ぼくがある漫画家さんに話を聞いたときも、売れる人は「提出すること」にこだわると言っていました。
ある漫画家さんから「売れる人は『期日通り提出すること』にこだわるけど、売れない人は『完璧に仕上げること』にこだわる」という話を聞いた。漫画業界特有の事例かと思いきや、コレ、どんな仕事にも当てはまると思った。
— 小林敏徳 (@enrique5581) September 16, 2016
人を頼ってみる
完璧主義の性格を改善するためには、人を頼ることも重要です。
完璧主義者としては、プライドが許さないかもしれません。
自意識過剰の傾向がある人は、助けを求めることなんかできないかもしれません。
でも、勇気を出してください。
何でも自分でやるなんて、絶対に不可能だからです。
仕事はチームでするものですし、結婚生活も夫婦で協力するもの。
地域生活だって近所同士で助け合いますし、友人同士だってそうでしょう。
完璧主義であるかどうかに関わらず、1人で生きていくことはできないのです。
人との関わりによって、他者や物事に対する寛容さが培われます。
完璧主義にも3タイプあることが判明!
完璧主義にもタイプがあることをご存知ですか?
ケント大学(イギリス)のヨアヒム・ストーバー教授の研究によると、完璧主義者は次の3タイプに分類されるそうです。
- 自己指向型:自分に求める水準が高く、努力を怠らない人
- 社会規定型:自分が完璧であることが社会にとっても重要だと考える人
- 他者指向型:他者に求める水準が高く、他者を見下し、批判する人
引用元:Medical News Today
「自己指向型」と「社会規定型」は自分に厳しいタイプですが、「他者指向型」は他者に厳しいタイプですね。
加えて他者指向型は、要求に答えられなかった人を厳しく批判する傾向があり、反社会的で、ナルシスト的な特徴もあるようです。
自分に厳しいのが良いこととは限りませんし、他者に厳しいのが悪いこととも限りませんが、少なくとも人生が息苦しくなるのは間違いないでしょう。
プロスポーツ選手やビジネスマンのストイックな姿勢がメディアで賞賛され、ネットで美談として語られる向きもありますが、彼らとて、息抜きの時間を作っているからこそ、自分を追い込むことができるのです。
報道されないところにある緩急を、見逃してはなりません。
完璧主義よりも「達成主義」になろう!
完璧主義になるくらいなら、達成主義になりましょう。
完了主義でも、完結主義でも、呼び方は何でも構いません。
つまりは、自分の理想に届くまで追い込むのではなく、その物事を完結させることを重視し、全力を尽くすことですね。
仕事に限らず、ほとんどの物事には期限があるでしょうから、その期限内で完璧を目指すことに集中してください。
ちょっと冷たい言い方になりますが、自分のこだわりとか、理想なんて、他者からすれば「知らんがな」ですからね。
人生においても、緩急を大切にしましょう。
ミラクリから一言
完璧主義よりも達成主義!