緊張する(もしくはしすぎる)というのは、悩ましい問題。
緊張しやすい性格だと自覚しているため、人前に出るのを避けている方もいるでしょう。
いい緊張感なら問題はありませんが、手足が震えたり、赤面したり、吐き気がしたりするのはちょっと…。
できれば、いつも平常心でいたいですよね。
ある調査によると、80%以上の人が緊張しやすい性格だと思っているのだそう。
では、いつも冷静でいられる人は、どんなことに注意し、何を意識しているのでしょうか?
今回は、緊張する原因と対策について解説しますね。
「緊張する」とは?
緊張するとは、気分が張りつめていること。
慣れない物事に直面したり、プレッシャーを感じたりして、心身が引き締まっている状態のことです。
厳密に言うと他にも意味合いはありますが、この記事では「人前で緊張する」というような意味合いに限定します。
「良い緊張」と「好ましくない緊張」がある
緊張には、「良い緊張」と「好ましくない緊張」があります。
良い緊張状態は、以下のとおり。
- 期待で胸がドキドキする
- 身が引き締まる
- 武者震いする
- やる気がみなぎってくる
逆に、好ましくない緊張状態は以下のようなものです。
- 手汗をかく
- 手足が震える
- 心臓の鼓動が早くなる
- 口の中が乾き、喉がカラカラになる
- 動悸がする
- 赤面する
- 下痢・吐き気
- 視界が狭くなり、めまいがする
- 頭が真っ白になる
この記事をお読みの方が悩んでいるのは、「好ましくない緊張」でしょう。
「緊張しいの人」は80%以上もいる
緊張しいの人は、意外に多いようです。
アサヒグループの「ハピ研」が、20歳以上の男女・1,579名に対して行ったアンケートによると、80%以上の人が緊張しいとのこと。
あなたは緊張しやすいタイプ?
- とても緊張しやすい:41.2%
- どちらかと言えば緊張しやすいき:41.6%
- あまり緊張しない:15.4%
- ほとんど緊張したことがない:1.8%
引用元:ハピ研
程度の差こそあれ、合計82.8%の人が緊張しいのようですね。
個人的に、これは予想以上の割合でした。
冷静でいられない…緊張する原因
では、なぜ人は緊張するのでしょうか?
その裏にはどのような心理や原因があるのでしょうか?
緊張する原因をまとめてみました。
ノルアドレナリンの過剰分泌(交感神経過多)
身体的原因としては、「ノルアドレナリンの過剰分泌(交感神経過多)」が挙げられます。
人は興奮すると、脳からノルアドレナリンという神経伝達物質が分泌され、活動を促す交感神経が優位になります。
これは人間にとって必要な作用なのですが、ノルアドレナリンが過剰分泌されると興奮状態が続き、リラックスすることができなくなる。
これは大きな問題ですね。
極度の緊張状態が長く続くような人は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れている可能性があります。
自意識過剰
自意識過剰になっているのも、緊張する原因です。
自意識過剰とは、みんなが自分に注目しているかのような、ある種の強迫観念に囚われること。
この状態になると、失敗するのが怖くなり、人前で笑うことでさえも怖くなります。
過去にいじめられたり、大失敗をしたことがトラウマになっている人が陥りやすい状態です。
失敗を恐れて不安になっている
失敗を恐れる気持ちも、緊張の原因になります。
仕事のプレゼンで失敗しないか? 初デートで恥ずかしい思いをしないか?などと考えているうちに、緊張してくるのです。
そんな状態で当日を迎えたら、失敗する確率が余計に高まるのは目に見えていますよね。
そうと分かっていても、自信のなさが災いして、前向きになることができないのです。
練習・準備不足
練習・準備不足も、緊張の原因です。
いつもは緊張しない人も、練習不足のときは別。
たとえばプレゼンの準備が不十分だと、ちゃんと話せるだろうか? 資料に不備はないだろうか?と心配になるでしょう。
デートプランが曖昧のまま当日を迎えたら、朝からやきもきしますよね。
練習・準備不足でもどっしりしていられる人は、少数派です。
精神疾患の可能性もある
緊張するのは、精神疾患が原因の可能性もあります。
たとえば以下のようなもの。
- あがり症
- 社交不安障害(社会不安障害)
- 対人恐怖症
- うつ病
- 新型うつ病
- 統合失調症
- 強迫性障害
- パニック障害
「あがり症」くらいならまだ付き合っていけますが、他の精神疾患になると専門医による治療が必要です。
自力でどうにかできるものではありませんので、早めに心療内科等で診察を受けましょう。
緊張しない方法はただ1つ:徹底的に準備すること
では、どんなことをすれば緊張しないのでしょうか?
「仕事がデキる人は緊張しない」みたいな説もあるので、秘訣を知りたいですよね。
緊張しない方法は、たった1つ!
それは「徹底的に準備すること」だけです。
つまり、「これで絶対に大丈夫!」と確信を持てるまで準備すること。
たとえばプレゼンの達人と言われたAppleの故スティーブ・ジョブズ氏は、以下のような準備をしていたそうです。
- 製品発表会の数週間前から準備を始める
- 5分間のプレゼンの練習に数百時間かける
- リハーサルに2日かける
- 本番当日もリハーサルを2回行う
まさに完璧を求めていることが、上記からも伝わってくるでしょう。
ここまでやってはじめて「徹底的に準備した」と言えるのではないでしょうか。
(えぇ、自戒ですが…。)
平常心になろう!緊張したときの対策
まずは緊張しないようにアプローチするのが大切ですが、それでも緊張感に襲われることはあるでしょう。
そんなときは、どう対処すればいいのでしょうか?
ここでは、緊張したときの対策を紹介します。
緊張する原因を分析してみる
まずは、緊張する原因を分析してみましょう。
今の正直な気持ちをノートに書き出してみてください。SNSやブログのように、人の目は意識せず。
今の気持ちをノートに書き出していくと、以下のような心理が見えてくるはずです。
- 失敗するのが怖い
- 人の目が気になる
- 上司・同僚の評価が気になる
- 過去の大失敗を思い出す
- ちゃんと会話できるか心配
緊張の原因がわかれば、気持ちがスッキリするでしょう。
ポジティブなイメージを持つ
次に、ポジティブなイメージを持ちましょう。
仕事が大成功したときの光景や、彼女(彼氏)が喜んでいる姿を、自分の気持ちが高揚してくるまで想像してください。
これは妄想ではなく、一種のイメージトレーニングです。
脳に成功のイメージをインプットできれば、本当にそうなる確率が高まりますよ。
心の中に「逃げ道」を作る
極度の緊張に襲われたら、心の中に「逃げ道」を作りましょう。
逃げ道がないからこそ、胸がザワザワするのですから。
以下のように考えてみてください。
- 失敗しても命までは取られない
- 恥をかいたら「すべらない話」ができる
- 頼まれた仕事だから
- はじめに失敗したほうが後々らく
ちょっとくらい無責任な考え方をしても、人に言わなければどうってことないのです。
罪悪感は捨てて、ゆるく考えましょう。
頭で考えるのをやめ、体を動かす
緊張したときは、頭で考えるのをやめて、体を動かすのも手です。
「緊張するな」と言われても、それが出来たら苦労しませんよね。
いくら頭で考えても、いくら意識しても、行動が伴わなければ何も変わらない。
だから体を動かしましょう。
緊張の原因を分析するのもいいですし、気分転換に出かけるのもいい。
かるく運動して汗をかき、リフレッシュするのもいいでしょう。
セロトニンを分泌させる
緊張したり、不安になりやすい状態を改善するためには、「セロトニン」を分泌させることも重要です。
セロトニンとは、「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質のこと。
以下のようなことをすれば、セロトニンが分泌しやすくなると言われています。
- 日光を浴びる
- 運動をする
- 好きなことをやる
- スキンシップを取る
- 瞑想する
- 深い呼吸を意識する
これは1日〜2日で効果の出ることではありませんが、長期的にはかなり重要。
常に平常心でいられる自分になるためにも、脳から改善していきましょう。
認知行動療法を行う
精神疾患が疑われる、もしくはそうと診断された場合は、認知行動療法を行うのも選択肢の1つ。
認知行動療法とは、考え方そのものを変えていくための心理療法です。
代表的な認知行動療法は、以下のとおり。
- 認知修正法
- 段階的暴露療法
- 集団認知行動療法
- 不安対処訓練
- 社会技術訓練
前述しましたが、精神疾患のレベルになると自力で改善するのは難しいので、専門医の力を借りてください。
精神疾患は、早めに対処することが何よりも重要です。
緊張する場面は「大勢の前でスピーチするとき」が1位
さて、人はどんなときに緊張するのでしょうか?
あがり症を公言する人は少ないので、ちょっと気になりますよね。
冒頭でも引用した「ハピ研」の調査によると、緊張する場面は「大勢の前でスピーチするとき」が1位だったようです。
どんな時に緊張しますか?
- 大勢の前で話・スピーチをするとき:82.2%
- 初対面の人に会うとき:36.5%
- 新しい職場や仕事をするとき(人事異動など):35.6%
- プレゼンや報告を行うとき:27.8%
- 発表会や演奏会のとき:26.7%
- 資格取得、入社試験や面接のとき:26.4%
- 苦手なことを無理にさせられると(カラオケ、料理、運転など):20.0%
- 経験のないことをしなければならないとき(仕事、一人暮らしなど):17.7%
- 電話で人と話すとき:16.4%
- 目上の人(上司、社長、年配者など)と話をするとき:13.3%
引用元:ハピ研
「大勢の前で話・スピーチをするとき(82.2%)」は、ほとんどの人が緊張するんですね。
また、「初対面の人に会うとき(36.5%)」に緊張する人が多いのも驚きました。
なーんだ、みんな実は緊張してるじゃないか。
そう考えたら気楽になりますね。
緊張するのは、新しいことにチャレンジしている証拠!
緊張するのは、新しいことにチャレンジしているからです。
だって自宅に帰るときや、なじみの店に入るときに緊張しますか?
ほとんどの方はしないと思います。
逆に人の家にお邪魔するときや、はじめての店に入るときは緊張するでしょう。
どういう結果が得られるか、予想できないからです。
ですから、緊張したら「人間的に成長するチャンスだ」と捉えてくださいね!
ただし、極度の緊張で疲れてしまった場合は、注意が必要ですよ。
ミラクリから一言
緊張は、成長のプロセス。