もはや「虚言癖」と言っていいくらい、よく嘘をつく人がいたら、いろいろと悩みますよね。
どうやったら、ここまで真実(事実)をねじ曲げられるのだろうか?
この人には罪悪感というものがないのだろうか?
そう考えてしまうと思います。
それと同時に、表立っては言えませんが、「もしかして、この人は病気ではないだろうか…?」という疑念もわくでしょう。
いわゆる「虚言癖」は、それ自体は病気ではありませんが、他の精神疾患と関連している場合も。
もちろん、ただの「意図的な嘘つき」の場合もあります。
このあたりは素人が診断できるものではないので、安易に「病気」と断定したり、そういった風評を流さないようにしましょう。
今回は、虚言癖のある人の特徴と、よく嘘をつく人への対処法を紹介しますね。
虚言癖とは?
虚言癖とは、どうしても嘘をついてしまう性質のこと。
意図的に過去の出来事を歪曲したり、無意識に嘘をつく。
そういった言動が顕著な人を、そう呼ぶこともあります。
虚言癖自体は病気ではないが、精神疾患と関連している場合がある
最初にハッキリさせておきたいのは、「虚言癖は病気ではない」ということ。
ただ、何らかの精神疾患と関連している可能性はあります。
このあたりは素人には判断の難しいところなので、安易に断定(診断)しないでくださいね。
「虚言癖、嘘つきは病気か」という著書で知られる精神科医の林公一氏によると、虚言癖は以下のような精神疾患と関連している可能性があるそうです。
- 自己愛性パーソナリティ障害(自分の価値を誇大的に評価している、など)
- 演技性パーソナリティ障害(自分が注目の的になっていないと気がすまない、など)
- 境界性パーソナリティ障害(見捨てられるのが不安でしがみつく、など)
自分を過大評価していたり、過度の「かまってちゃん」だったり、極度の不安症だったり。
そういった性質を抱えていて、且つ、よく嘘をつく人は、もしかすると何らかの精神疾患を患っているのかも。
また、以下のような精神疾患と関係している可能性もあります。
- 虚偽性障害(虚言症)
- ミュンヒハウゼン症候群
- 代理ミュンヒハウゼン症候群
- 統合失調症
- 妄想性パーソナリティ障害
- 反社会性パーソナリティ障害
虚言については医学的に解明されていない
先ほども登場した精神科医の林公一氏によると、虚言についてはまだ医学的に解明されていないそうです。
その記述を引用しますね。
虚言についての医学的研究は驚くほど少ない。
虚言は精神医学の死角にある。
専門医でも判断が難しいのですから、素人ができるわけがありませんよね。
ですから、よく嘘をつく人を見かけても、安易に「病気」だとは言わないようにしましょう!
虚言癖のある人の8つの特徴
では、虚言癖のある人とは、具体的にどんな人なのでしょうか?
主な特徴をまとめてみました。
プライド・虚栄心・劣等感などが強い
虚言癖のある人は、次のような強い感情を持っています。
自分のプライドを傷つけないため、虚栄心を満たすため、孤独を癒やすため。
つまり、自分自身の心の隙間を埋めるために嘘をつくのです。
嘘をつかれたほうはたまったものではありませんが、嘘の裏にそういった感情があることは知っておいたほうが良いでしょう。
嘘をついている自覚がない
虚言癖のある人は、嘘をついている自覚がありません。
ですから、どれだけ嘘を指摘されても、上司に怒られても、友達から嫌われても、どこ吹く風。
「私が正しいのに、あの人達は何か勘違いしている」くらいに思っています。
嘘を言った時点で、それが彼らにとっては真実(事実)になっているからです。
あまりにも飄々としているので、余計に腹が立つかもしれませんが、グッと堪えてください…。
自己を正当化する能力に長けている
虚言癖のある人は、自己を正当化する能力にも長けています。
たとえば誰もがわかる嘘をついて、それを指摘されたら、「私が嘘をついたのはあなたのせいだ。なぜなら…」と言い始めるでしょう。
「あなたのため」「会社のため」「◯◯さんのせい」などが常套句です。
「私が嘘をついたのには理由があるのだから、私の責任ではない。」
そう考え、嘘に嘘を重ねてでも自分を守ろうとするでしょう。
感受性の強さが、良くないほうに作用しています。
悪気がないから罪悪感を感じない
虚言癖のある人は、悪気がないので、嘘をついたことに対して罪悪感を感じません。
だって、彼らには嘘をついた自覚がないのですから…。
誰かを騙したり、傷つけることになっても、それは自分のせいではない。
他の誰かが悪いか、その人の運が悪かったのだと考えます。
迷惑な意味でのポジティブなので、ちょっと手がつけられません。
思い込みが強い
虚言癖のある人は、思い込みがものすごく強いです。
昔、こんなことがありました。
ある男性が、化学物質の研究で大失敗をやらかしたのですが、その男性は最後まで「Aさんがやった」と言い張ったのです。
その男性が研究していたことは、数ヶ月にわたり、20人以上が見ていました。
数々の記録書にも、彼の名前が記載されています。
それでも「俺はそんな研究は知らないし、やったこともない」と最後まで言い張ったのです。
あまりにも確信に満ちた表情でそう言うので、会社からはそれ以上責められませんでしたが、ちょっと怖かったです。
思い込みの強さは、ときに事実すら変えてしまうのだと思い知りました。
きっと、政治家の方がよく言う「まったく記憶にございません」も、いつかの段階で本当にそう思ってしまうのでしょうね。
「話のつじつま」なんて気にしない
虚言癖のある人は、「話のつじつま」なんてものは全く気にしません。
たとえば昔、こんなことがありました。
ある女性が「妊娠した」と言ったので、みんなでお祝いをしました。
その後数ヶ月にわたり、婚約者が喜んでいるとか、ベビー用品を買ったとか、名前をどうするという話を聞いていたのですが、彼女はいつまでも酒を飲み、たばこを吸っていたのです。
不思議なことに、お腹もなかなか出てきません。
体調を心配した人がそれを指摘すると、「我慢するほうが体に悪いと医者に教わった」と言い、そのうち「妊娠したなんて言ってない」という始末。
結局、彼女は妊娠しておらず、身近な人が言うには、彼氏すらいなかったそうです。
みんなの気を引きたいとか、心配されたいという気持ちから衝動的に嘘をついているので、話のつじつまが合わないのも当然でしょう。
反省をしない
虚言癖のある人は、反省をしません。
嘘をついている自覚がなく、罪悪感もないのですから、当然といえば当然ですね。
反省をしないので、虚言癖が改善されることもなければ、嘘をつく癖があることを自覚することもありません。
身近な人はストレスが溜まるでしょうが、この解釈の溝はなかなか埋まらないでしょう。
嘘を指摘されると異常に怒ったり、落ち込んだりする
虚言癖のある人は、嘘を指摘されると異常に怒ったり、激しく落ち込んだりします。
これは嘘をついた自覚があるため、反射的にそうなってしまう場合もありますが、逆の場合もあります。
つまり、「自分は正直で誠実なのに嘘つき呼ばわりされた」と思い、感情的になってしまうようなことですね。
その嘘が意図的なのか、無意識なのかは、判断の難しいところです。
人が嘘をつく心理的原因
では、なぜ人は嘘をつくのでしょうか?
そこにはどんな心理的原因があるのでしょうか?
以下にまとめてみました。
嘘をつくときの心理は様々ですが、「本人の心の中」に原因があるのは間違いないでしょう。
前述しましたが、虚言癖は病気ではありません。
悪気がある場合もあれば、ない場合もありますので、慎重に見極めてくださいね。
よく嘘をつく人への正しい対処法
では、よく嘘をつく人(嘘つき)がいたら、どう対応すれば良いのでしょうか?
付き合い方のポイントを知っておかなければ、ストレスが溜まる一方ですよね。
実はぼくの身近にも、虚言癖の人が何人かいました。
中には精神疾患を抱えている人もいて、みんなそれなりに強烈でした。
ぼくは知人の精神科医にアドバイスをもらい、その方々と接するときに次のようなことを意識していました。
嘘だと思っても相手を責めず、冷静に聞き流すこと
まずは、嘘だと思っても相手を責めないことが大切です。
物事にはいろんな解釈があるので、自分の真実と他人の真実は往々にして異なるもの。
ですから、「あなたが間違いで私が正解」という二極論で追い詰めたり、嘘をついたことを認めさせようとしないことです。
会社の同僚が嘘を言っても、彼氏(彼女)が嘘をついても、まずは冷静に聞き流してください。
一緒に事実関係を整理すること
次に大切なのは、一緒に事実関係を整理すること。
仕事でトラブルがあった場合は、仕事を依頼した時点から一緒に振り返ってください。
恋愛面の食い違いがあったら、二人で話し合った時点から振り返ってみてください。
そして、食い違っていた点が判明しても、絶対に相手を責めないこと。
よく嘘をつく人にプレッシャーをかけると、聞く耳を持ってくれなくなるからです。
良いところを褒め、自信を持ってもらうこと
次に大切なのは、よく嘘をつく人の良いところを褒め、自信を持ってもらうこと。
「自己肯定感を育む」とも言えるかもしれません。
嘘をつかれたのはこっちなのに、相手を褒めるなんて癪だという人もいるでしょうが、そこはグッと堪えてください。
自信のなさが災いして、まるで息を吸うように嘘をついてしまう人もいるのですから。
気長に褒めていきましょう。
周囲の人に話すときは、冷静に事実関係だけを伝えること
最後のポイントは、よく嘘をつく人のことを誰かに話すときは、冷静に事実関係だけを伝えることです。
嘘をつかれたときは、その憤りから、つい嘘をついた人のことを責めたくなるでしょう。
誰かに怒りをぶちまけて、自分の心の傷を理解してもらいたくなるでしょう。
その気持ちもグッと堪えてください。
もしかすると、よく嘘をつく人は何らかの精神疾患を患っているかもしれないので、変な風評を流さないことが大切。
それが本人の耳に入ったら、余計に大変なことになるからです。
たとえば上司に事実関係を報告するときは、すべての経緯と食い違っていた部分を冷静に伝えましょう。
また、人間関係のストレスは、適時発散してくださいね。
病気(精神疾患)の場合、「話せば分かる」は通用しない
さて、よく嘘をつく人には対処できたとしても、病気(精神疾患)の場合はちょっと別。
より慎重に対処する必要があります。
精神科医の林公一氏によると、精神疾患を抱えている場合、「話せば分かる」は通用しないそうです。
被害妄想が客観的に見てあり得ない内容、たとえば外国のスパイ組織に監視されて拉致されそうだ、というような内容であれば、すぐに妄想だとわかるでしょう。
けれども妄想性障害の妄想内容は、「音で嫌がらせをしている」「悪口を言っている」というように、あり得ないとまではいえないものが多いものです。
ですから、日常によくあるトラブルのように見えても、慎重な判断が必要です。
また、これは病気ですので、話せばわかるといった類いのことではありません。
説得だけでは決して納得しません。
説得しようとしたり、事実関係を分からせようとしても、それは困難。
本人には病気の自覚がないので、余計に逆上したり、嘘を重ねて攻撃される可能性もあります。
かと言って「病院に行きなさい」と諭すわけにもいきませんので、できるだけ気長に、冷静に見守ることが大切です。
嘘をつく人は、それが真実(事実)だと思っている
知人の精神科医がいつも言うのは、「嘘をつく人は、それが真実(事実)だと思っている」ということ。
つまり、その人にとってはそれが真実なので、嘘だと糾弾したり、病気だと断定するようなことはやめたほうが良いということです。
人によって物事の見え方は異なります。
道端のゴミを拾っている人を見て、「すばらしい」と思う人もいれば、「いい人ぶってる」と思う人もいる。
それくらい人の解釈は違うので、人を安易に嘘つき呼ばわりしないようにしましょう。
また、虚言癖と言えるレベルの人や、精神疾患の疑いがある人には、冷静に対処してください。
憤る気持ちを、グッと堪えて!
*その人って、もしやメンヘラ女子では…?
ミラクリから一言
虚言癖の人は、あっけらかんとしていますよ、本当に。