「人のことが怖い…」
「しばらく誰にも会いたくない…」
そんな状態になった経験はありませんか?
人のことが怖くなるのは、相手を失望させたくないとか、本当の自分を知られるのが怖いといった感情に加えて、コンプレックスやトラウマなども原因に。
さらに、問題のある家庭で育った「アダルトチルドレン」であることが影響している可能性もあります。
また、「人のことが怖い」という状態が悪化すると対人恐怖症になってしまいますので、早め早めに対処していきましょう。
今回は、人のことが怖い心理的原因と対処法を紹介しますね。
「人が怖い」とは?
「人が怖い」とは、具体的にどういう状態なのでしょうか?
人が怖いとは、人に会うのが嫌になる、あるいは人に会うと過度に緊張するような状態のこと。
また、対人関係においてあらゆる心配が生じ、一種の不安症のようになってしまいます。
たとえば外見や臭いなどの問題で「人を不快にさせるのでは?」と心配になったり、「自分がいると迷惑がかかるのでは?」と不安になるようなことですね。
症状が悪化すると、対人恐怖症になる
この症状が悪化すると、対人恐怖症になってしまいます。
対人恐怖症とは、心療内科やメンタルクリニックで診断される神経症のこと。
日常生活に支障をきたすレベルのものをそう呼びますが、明確な線引があるわけではなく、あくまでも本人からの申告と医師の診察によって診断されます。
次のような症状が現れているなら、早めに診察を受けましょう。
- 知人に会っただけで緊張して震える
- 会話をすると汗だくになる
- うまく言葉が出てこない(どもる)
- 口の中が乾き、冷や汗がでる
- 動悸がする
- 人に会いたくない
うつ病と対人恐怖症を併発することもある
対人恐怖症とうつ病を併発する場合もあります。
実はぼくが2013年にうつ病になったときも、対人恐怖症を併発してしまいました。
気分が落ち込むことに加えて、人に会うのが極端に嫌になったり、会社の同僚と話すだけでも汗が吹き出すのは、本当につらい経験でした。
同じような目にあわないためにも、人のことが怖くなったら早めに対処してくださいね。
人のことが怖い8つの心理的原因
では、なぜ人のことが恐くなるのでしょうか?
そこにはどんな心理があるのでしょうか?
主な原因をまとめてみました。
人に慣れていない
人のことが怖いのは、人に慣れていないのが原因かもしれません。
つまり誰かと密接な関係を築き、それを長期的に育んだ経験がない。
あるいは社交の経験が少ないため、人にどう接すればいいのかわからないということですね。
たとえば恋愛経験が乏しければ、男性(女性)の気持ちがわからなくても不思議ではありません。
単純な経験不足の問題なら、解決するのは比較的簡単です。
相手を失望させたくない
人のことが怖いのは、「相手を失望させたくない」という気持ちが強すぎるのも原因です。
つまり失敗を許容できず、常にパーフェクトであろうとする完璧主義が影響しているのかも。
たとえば上司を落胆させまいと難しい仕事を避けたり、それが行き過ぎて会社に行きたくなくなるようなことですね。
完璧主義は自分自身を追い詰めます。
本当の自分を知られることを恐れている
人のことが怖いのは、本当の自分を知られるのを恐れていることも原因です。
自分の本心を知られて、人に煙たがられたり、批判にさらされたり。
あるいは個性的な考え方を嘲笑されたり、揶揄された経験のある人は、次第に本心を隠すようになるでしょう。
本当の自分を知られることが、つらい経験につながると思い込んでいるからです。
強いコンプレックスがある(容姿、話し方など)
強いコンプレックスがある場合も、人のことが怖くなってしまいます。
コンプレックスとは、たとえば次のようなもの。
- 容姿
- 特徴のある話し方
- 理解しがたい考え方
- 難解な性格
容姿や話し方にコンプレックスがあるせいで、人の目を見て話せない人はそれなりにいます。
また、そもそもの考え方自体にコンプレックスを持っていて、それゆえに堂々と人前で発言できない人も。
コンプレックスが強ければ強いほど、対人関係は難しくなるでしょう。
トラウマがある(いじめ、親の教育など)
強いトラウマがある人も、対人恐怖症のような状態になりがちです。
トラウマとは、たとえば次のようなもの。
- いじめ
- 親友の裏切り
- 悪口を言われた経験
- 抑圧された幼少期(親の教育)
- モラハラ(モラルハラスメント)
- DV(家庭内暴力)
- 精神疾患(うつ病、発達障害など)
いじめられたり、親友に裏切られたり、親から抑圧された経験のある人は、心に深い傷を持っているもの。
また、モラハラやDVや精神疾患の経験のある人も、人には知られたくない心の闇を持っています。
その心の傷を秘密にしている限り、人間関係に影を落としてしまうでしょう。
アダルトチルドレン
「アダルトチルドレン」と呼ばれる人たちも、人のことを怖がる傾向にあります。
アダルトチルドレンの意味を、メンタルクリニックのブログから引用しますね。
アダルトチルドレンとは、機能不全家庭で育ったことにより、成人してからもこころに傷を抱えている人のことを指します。
「機能不全家庭」とは、正常な機能を果たしていない家庭のことです。
(中略)
- 親が虐待をしている家庭
- アルコール依存症の親がいる家庭
- 夫婦仲が険悪などの家庭問題を持つ家庭
- 過保護・過干渉な家庭
つまりアダルトチルドレンとは、問題のある家庭で育った人のことですね。
家庭環境によって自尊心が毀損され、精神が不安定になる。
それゆえに社会にうまくなじめず、恋愛もうまくいかず、なかなか良好な人間関係も築けないのです。
空気を読みすぎる(感受性が強い)
人のことが怖いのは、空気を読みすぎているのかも。
つまり感受性が強すぎて、人の表情の変化を敏感に察知してしまうということですね。
空気を読む能力は大切ですが、それが行き過ぎると強いストレスの原因になるでしょう。
それどころか、ひと目を気にしすぎて行動を制限したり、発言を取りやめるケースも増えてしまいます。
自意識過剰
人のことが怖いのは、自意識過剰なのも原因です。
つまりみんなが自分に注目しているかのような錯覚に襲われ、常に緊張しながら行動してしまうということですね。
それゆえに他者にどう思われているのか、評判はどうなのだろうかと心配になり、一種の不安症のようになっているのです。
自意識過剰はほどほどに。
対人恐怖症になったら、心療内科等ですぐに診察を!
人のことが怖くなったときの対処法を紹介する前に、1つだけ注意点を。
もし対人恐怖症が疑われるなら、早めに心療内科やメンタルクリニックで診察を受けてください。
前述しましたが、次のような身体的症状が現れているなら注意が必要です。
- 知人に会っただけで緊張して震える
- 会話をすると汗だくになる
- うまく言葉が出てこない(どもる)
- 口の中が乾き、冷や汗がでる
- 動悸がする
- 人に会いたくない
精神疾患は、初期症状の段階で対処できれば早めに回復しやすいものです。
違和感がある場合は、その直感を信じて早く病院を訪ねてください。
信頼できる病院の探し方は次の記事で。
人のことが怖くなったときの対処法
では、人のことが怖くなったときは、どのように対処すれば良いのでしょうか?
「対人恐怖症の一歩手前」の状態を克服することは可能なのでしょうか?
主な対策をまとめてみました。
自分と向き合い、人のことが怖くなった原因を探る
まずは自分と向き合い、人のことが怖くなった原因を探りましょう。
時間がかかっても構いません。
気持ちが落ち着いてからでも構いません。
「なぜこれだけ人に対して恐怖を感じているのか?」をじっくり問いかけてみてください。
上司からの期待やプレッシャー?
それとも彼氏(彼女)から言われた一言?
周囲の期待を裏切ったあの大失敗?
必ずきっかけとなった原因(出来事など)があるはずです。
まずはそれを見つけ出しましょう。
プレッシャーに打ち勝つ方法は、次の記事で紹介していますよ。
「ありのまま」を心がける
人のことが怖くなったときほど、「ありのまま」を心がけましょう。
つまり「自然体でいて嫌われるようならしょうがない」と考えて、どっしり構えるということですね。
最初のうちは人前で本音を言ったり、感情を露わにすることに抵抗があるでしょうが、そのうち何とも思わなくなります。
それどころか、思いのほか誰も自分に注目していないことを、いい意味で痛感するでしょう。
中にはあなたの自然体を見て離れていく人がいるかもしれませんが、本音で付き合える「親友」も必ず現れますよ。
批判や悪口等をシャットアウトする
人のことが怖くなったときは、批判や悪口等をシャットアウトすることも大切です。
メンタルが安定している状態なら、賛否両論を聞いたうえで物事に生かすこともできますが、心が弱っているときは遮断するに限ります。
些細な指摘を「重い批判」と捉えてしまう可能性があるからです。
悪口などと一緒に、苦手な人や自分に対して批判的な人からも距離を置きましょう。
不平不満が多い人にも気をつけてください。
得意な手段でコミュニケーションを取る
人のことが怖くなったら、得意な手段でコミュニケーションを取るよう心がけましょう。
コミュニケーション手段とは、次のようなものです。
- 会話
- 文章(ブログ、SNS等)
- メール(LINE)
- 電話
話すよりも、文章のほうが言いたいことをちゃんと伝えられる人もいるでしょう。
メールやSNSのほうが雄弁になる人もいるでしょうし、顔の見えない電話のほうが本心を言える人もいると思います。
コミュニケーションに不安があるときほど、得意な方法で感情を表現してください。
対人関係の成功体験を積み重ねる
人のことが怖くなったら、対人関係の成功体験を積み重ねましょう。
一種の人間不信のような状態で人と関わるのは怖いでしょうし、大変だと思いますが、自分の殻に閉じこもっていては、いつまでもその状態を克服できないのも事実だと思います。
挨拶をするだけでもいいですし、感謝を伝えるだけでも構いません。
気の置けない仲間を飲みに誘うだけでもOKです。
人との関わり合いの中で、少しずつ自信をつけてください。
人に親切にする
人のことが怖くなったときほど、人に親切にしましょう。
そもそも人と関わるのが怖いのに、自分から積極的に声をかけて優しくするなんて、絶対むりだと思うでしょう。
その気持ちは痛いほどわかりますが、勇気を出してください。
人に優しくできたときほど優しい気持ちになり、自信が芽生えるからです。
ぼくは、祖母から言われた次の言葉を大切にしています。
人に親切にすることで救われるのは自分自身だ。
*筆者の祖母の言葉
年齢を重ねるほど、この言葉の重みを実感しています。
つらいときほど、一歩前へ。
職場の人間関係に満足している人は50%
次は参考までに、人間関係の満足度について紹介しますね。
世間の人たちは、職場の人間関係に満足しているのでしょうか?
それとも不満があるのでしょうか?
人材会社の「エン・ジャパン」が971名から回収したアンケートによると、職場の人間関係の満足度は次のような割合だったそうです。
現在(前職)の職場における人間関係の満足度を教えてください。
- 大変満足している:6%
- 満足している:44%
- 不満がある:33%
- 大変不満がある:17%
引用元:エン・ジャパン
満足している人が合計50%で、不満がある人が合計50%とのこと。
ちょうど半々ですね。
では、職場の人間関係に不満のある人は、誰との関係に悩んでいるのでしょうか?
その結果がこちらです。
仕事において誰との人間関係で悩んでいますか?
- 上司:57%
- 同僚:23%
- 部下:15%
- 顧客:8%
- その他:7%
- 特に悩むことはない:18%
引用元:エン・ジャパン
やはり上司との関係性が断トツで、その次に同僚や部下ですね。
というわけで、思っている以上に職場の人間関係に悩んでいる人は多いようです。
思い切って対人恐怖症になりかけていることを打ち明けたら、共感してくれる人がいるかもしれませんよ。
人のことが怖くなったら、プライドを手放し、人を頼ろう
人のことが怖くなったときは、いろんな憤りがあるでしょう。
たとえば「対人恐怖症になった自分に対する憤り」や、「自分のことを理解してくれない周囲への憤り」ですね。
そのような憤りを誰かにぶつけられるかというと、実はそうではありません。
憤りが強くなるほどプライドが邪魔をして、身動きが取れなくなるものです。
つまり、対人恐怖症になっていることを誰にも打ち明けられなくなるということですね。
人のことが怖くなったときほど、プライドを手放し、人を頼ってください。
相談するだけでも良いですが、信頼できる人がいるなら背中を押してもらって通院してください。
意固地にならず、早めに対処していきましょう。
ミラクリから一言
メンタルが疲れているときほど、人の優しさが心に沁みます。