フリーランスとして独立する前、働いていた会社で面接担当をしていたときの話。
「とにかくユニークな経歴をもつ人材を採れっ!」という指示のもと、変わったキャリアを歩んできた人たちを面接していた。いま現在が「無職」であろうと関係ない。
営業職の採用面接にあらわれた無職の彼に、「なぜ仕事をしたいのか?」と根源的な質問をしてみたところ、とにかくスゴい回答が返ってきた。
1.働くことは、社会の役に立つこと
彼は「社会の役に立つこと」だと言い切った。
働くことの意義は見失いがちで、「お金のため」「生活のため」「自分のため」「人のため」色んな考え方があるだろうが、彼は無職の時期を経験したことで、「誰の役にも立っていない自分」の存在を痛感し、その答えにたどり着いたらしい。
極限の状況で見出した「仕事をすることの意義」は、細胞の奥底まで刻まれているようだった。
2.社会の役に立てば、お金を稼げる
彼は社会の役に立つことと「お金を稼ぐこと」の関係性も見つけていた。会社から給料をもらっていれば、まるで”組織”が自分のお客様であるかのように錯覚するが、ビジネスにはその先に「カスタマー(クライアント)」が必ず存在する。
無職の時期は誰の役にも立てず、だからこそお金を稼げない。
「それは当たり前のことだ」と気付いたらしい。
お客さんから沢山の拍手をもらった人だけが、お金を稼げる。
3.お金を稼げば、自己肯定感が高まる
彼は仕事のない時期に、お金を稼げない自分をかなり自己否定したらしい。国民の三大義務のなかに「勤労」と「納税」が含まれるのだから、無理もないことなのかもしれない。
そして彼は欲望そのままに”稼いだお金の額”を競うことよりも、「仕事をして、社会の役に立って、お金を稼ぐ行為」そのものに価値を見出したとのことだった。
お金を稼ぐことで、自己肯定感は高まり、自信がもてる。
4.自己肯定感が高まれば、人に出会える
「自己肯定感が高まれば、自信をもって人に会える」と、彼は言った。仕事をしていない時期は、自己否定を繰り返したことによって、人に会うことが億劫になり、会ったとしても引け目を感じておどおどしたそうだ。
働くこと、人に役に立つこと、お金を稼ぐことで自信をもつ。そんな前向きな生き方をしていると、不思議なぐらい人と出会っていく。逆に言うと、自信がなく、後ろ向きな人は、不思議なぐらい人を遠ざけてしまう。
仕事においては、人と出会うことも大事なことだし、キャリアアップとしての転職のチャンスも広がるだろう.
5.人に出会えたら、仕事のモチベーションが高まる
「孤独は平気、でも孤立はキツイ」と彼は言った。無職で家に引きこもっているときは、仕事もないし、お金がないから外出しない。人に会わない日々が続いて「孤立」してしまい、それが精神的にかなり堪えたそうだ。
人脈の規模や数は問題じゃない。多くなくたっていい。
でも自分にとって必要な人、大事な人に囲まれていることは、生きていく上で重要なことだ。
「自分のために」があっても良いが、「人のために」で頑張れることは多い。
働けるって、幸せなんだぜ。
無職の彼の回答が、なぜここまで胸にグッときたのか?を言っておくと、実はぼく自身も無職の時期を経験しており、まったく同じ辛さを感じて、心の闇を抱えつつも、また立ち上がった経験があるのだ。
働けるって、実はそれだけで幸せなこと。仕事が嫌でも、ゼロになってしまうと、自分でも不思議なぐらい働きたくなる。周りに人がいるって、実はそれだけで幸せなこと。「一人でも平気」と思っても、孤立してしまうと、自分でも不思議なぐらい人に会いたくなる。
少しだけ、今に感謝できるのではないだろうか。
ミラクリから一言
ちなみに彼は採用できませんでしたが、紹介先の会社で猛烈に働き、活躍しています。