メンタル

【情緒不安定の原因・症状・対処法】感情の起伏が激しくなったら要注意

情緒不安定になっていませんか?

これといった理由もないのに気分が落ち込んだり、いきなり涙があふれてきて止まらなくなったり。

かと思えば、急に元気になり周囲を唖然とさせるほどはしゃぎまわった挙句、また落ち込んだり。

感情の起伏が激しいと、それだけで疲れてしまいますよね。

情緒不安定になる原因は、完璧主義、自意識過剰、ストレスなど。

他にも女性特有の生理作用(月経など)が原因になる場合もあり、うつ病の前兆の可能性もあります。

ですから、気分のアップダウンが激しくなったときは、その状態を放置せず、すぐに対処しましょう。

今回は、情緒不安定の原因・症状・対処法を紹介します。

情緒不安定とは?

まずは「情緒不安定」の意味を知っておきましょう。

情緒不安定とは、感情の起伏が激しいさまのこと。

喜怒哀楽を理性でコントロールすることができなくなり、突然泣き出したり、怒りだしたりするようなことです。

「気分のアップダウンが激しい」くらいならまだ軽度ですが、周囲に当たり散らしたり、ベッドから起き上がれないほど落ち込むようになると、かなり重度と思って間違いありません。

精神医学の世界では「全般性不安障害」と呼ばれる

情緒不安定は、精神医学の世界では「全般性不安障害」と呼ばれます。

全般性不安障害とは、その名の通り、いろんなことに対して不安を感じる状態のこと。

「不安症」と呼ばれることもあります。

いろんな不安や心配を抱えているがゆえに、精神が不安定になるのです。

情緒が不安定になる原因

では、なぜ情緒不安定になるのでしょうか?

主な原因をまとめてみました。

妥協できない(完璧主義)

情緒不安定になる性格的要因は、完璧主義であることです。

完璧主義であるがゆえに、些細な欠点(弱点)を許すことができず、自分で自分を追い込む。

たとえば90点取れたことを褒めればいいのに、10点失ったことに憤りを感じるようなことですね。

このような姿勢を「ストイック」として賞賛する向きもありますが、やはりそれだけではメンタルが疲弊してしまいます。

過度な完璧主義の人は、気持ちの休まる瞬間がありません。

自意識過剰で失敗を許容できない

情緒不安定になるのは、自意識過剰で失敗を許容できないのも原因です。

たとえば仕事でミスをしたときに、それによって「周囲からの評価が下がるんじゃないか?」とか、「バカと思われたのではないか?」などと考えるようなことですね。

本当は誰も注目していないのに、自分ではそう信じ込んで、常に完璧であろうとする。

このような人は、些細な失敗をしただけなのに、「もう私は終わりだ」などと言って自分を追い詰めるでしょう。

自意識過剰については、次の記事でも紹介しています。

強いストレス

情緒不安定になるのは、強いストレスも原因です。

たとえば重要な仕事を任されたときは、強いプレッシャーを感じながら、失敗しないか、上司に恥をかかせないだろうか、などと思いを巡らせますよね。

ネガティブな人ほど「失敗に対する不安」が増大するでしょう。

他にも人間関係の問題や金銭トラブルを抱えているようなときも、情緒不安定になりがち。

強いストレスを受けたときほど、気分の浮き沈みが激しくなります。

女性特有の生理作用(生理、妊娠など)

女性特有の生理作用が表れているときも、情緒不安定になりがちです。

たとえば生理(月経)や妊娠中、出産後などですね。

これらの時期はホルモンバランスが崩れやすいため、メンタルコントロールが困難になると言われています。

月経前症候群(PMS)や産後うつなどの病気を抱えている場合は、なおさらでしょう。

ホルモンバランスが崩れているのですから、すぐにイライラしたり、衝動的になったりするのも無理はありません。

産後うつの体験談は次の記事で紹介していますよ。

セロトニン不足

情緒不安定になる原因は、脳機能にもあります。

それは「セロトニン」というホルモンが不足していること。

セロトニンとは、「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質のことです。

セロトニン不足はうつ病の原因になると言われており、とくに日本人は機能的にセロトニンが不足しがちなのだそうです。

脳科学者の中野信子氏は、セロトニンを運搬するセロトニントランスポーターには、「少なく作れ」と指令するS型と、「多く作れ」というL型に分かれ、その組み合わせによってセロトニンの量が決まると前置きした上で、次のようなことを述べています。

日本人が世界で一番S型を持っている人が多い、ということがわかっています。

SS型の人は、不安や不公平感を感じやすく、緊張しやすいようです。

(中略)

逆にLL型の人は、不安を感じにくい。勝負に強いタイプと言うんでしょうか。

(中略)

日本人ではSS型の人が、3分の2ぐらいです。

これに対して、LL型の日本人は3.2パーセントしかいない。

アメリカではLL型の人は日本の10倍程度います。

引用元:不安傾向が高い人ほど成績優秀?(ログミー)

なんと日本人は、そもそもセロトニンを生成する力が弱いのだそうです。

つまり日本人は不安を感じやすい民族だということ。

欧米人は前向きで挑戦的なのに、日本人は後ろ向きで消極的だとされるような言説も、あながち間違いではなさそうですね。

情緒不安定は、うつ病の兆候(抑うつ・躁状態)かもしれない

情緒不安定になるのは、うつ病の兆候の可能性もあります。

うつ病の前兆として、気分が落ち込む状態を「抑うつ」と言い、逆に気分が高揚するのを「躁状態」と言います。

このような気分のアップダウンの激しい状態は、以前までは「躁鬱病」と呼ばれていましたが、現在は「双極性障害」と呼ぶのが一般的。

情緒不安定が精神疾患につながる可能性もありますので、疑わしい場合は早めに通院しましょう。

双極性障害の体験談は次の記事で。

今すぐセルフチェック!情緒不安定の症状

今まさに気分のアップダウンに苦しんでいる方は、「もしかすると情緒不安定なのでは?」と心配になると思います。

自分が情緒不安定であるなら、早めに対処しなければもっと大変なことになるかもしれませんからね。

次のような症状がないか、セルフチェックしてみましょう。

  • 感情を制御できない
  • パニックになる
  • 慢性的な緊張・不安
  • 集中力の低下
  • 記憶力の低下
  • 落ち着きがない
  • 首・肩・腰のコリ
  • 動悸・震え
  • 吐き気・息苦しさ
  • 不眠
  • 食欲不振

気分のアップダウンが激しいくらいならまだ初期症状ですが、強い不安やパニックに襲われたり、動悸や震えなどの身体的な症状が現れているなら注意が必要です。

ぜひ早めに対処してください。

情緒不安定になったときの対処法(予防・治し方)

では、情緒不安定になったときは、どのように対処すれば良いのでしょうか?

効果的な予防方法や治し方はあるのでしょうか?

主なポイントをまとめてみました。

規則正しい生活を心がけ、栄養バランスに気をつける

まずは規則正しい生活を心がけることが大切です。

具体的には、バランスの良い食事を摂ること。

また、詳しくは後述しますが、適度に運動し、たっぷり眠ることも大切です。

食事に関しては、前述したセロトニンの源になる「トリプトファン」を含んだ、次のような食材を意識して摂りましょう。

  • 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)
  • 大豆製品(豆腐、納豆、味噌など)
  • 魚類(マグロ、カツオなど)
  • ナッツ類(アーモンド、ピーナッツなど)
  • バナナ
  • 小麦胚芽

もちろんこれらの食品だけではなく、野菜やフルーツなどもバランス良く食べることが大切です。

「体は食べ物でできている」と言われますが、それは心(メンタル)も同じだと思います。

十分な睡眠時間を確保する

情緒不安定を改善するためには、ちゃんと眠ることも大切。

情緒不安定とまではいかなくても、睡眠不足の日にイライラしたり、集中力が低下した経験は誰にでもあると思います。

適切な睡眠時間は人によって様々ですが、まずは「6時間」を目安にしましょう。

人間は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を90分おきにくり返しながら心身を治癒しており、その変わり目が最もスッキリ目覚められると言われているからです。

まずは6時間でスタートし、体調や目覚めの良し悪しと相談しながら、時間を調整してください。

ちなみに十分な睡眠は、気分を安定させること、つまり情緒不安定の予防にも効果的ですよ。

睡眠については、ぜひ次の記事も参考に。

運動を習慣にする

情緒不安定を改善するためには、運動を習慣にするのも効果的です。

適度な運動によって気分がスッキリするのはもちろんですが、セロトニンを分泌させ、前向きな気持になれる効果もあるからです。

激しいスポーツをする必要はありません。

ウォーキングやランニングでも構いませんし、ヨガやストレッチから始めるのもいいでしょう。

スポーツジムで筋トレを始めるのもいいかもしれません。

運動は健康増進だけではなく、メンタルの安定にも寄与します。

ランニングについては、次の記事もチェックしてください。

1人になれる時間を確保する

完璧主義で自意識過剰な人におすすめなのは、1人の時間を確保することです。

人目を気にせず、自分の好きなことだけをやること。

理想や目標なんかそっちのけで、リラックスして過ごすことです。

気遣いも、社交辞令も、トラブルも、人間関係のしがらみも、すべて忘れてしまいましょう。

それが1番のストレス解消になりますから。

メンタルが安定している人ほど、孤独な時間をうまく作り出しています。

不安なことをノートに書き出して整理する

情緒不安定を改善するためには、不安な気持ちを整理することも大切。

不安なことや心配なことをノートに書き出して、「恐怖」をもっと具体的にイメージしてみましょう。

たとえば「金欠になるかも?」という心配があるなら、金欠になったら具体的にどうなるのかまで書き出してください。

食べていけなくなる?

家賃を払えなくて家を追い出される?

そこまでの恐怖が明確になれば、やるべき対策も明確になり、気分が落ち着きます。

そう、根拠のない不安や心配は、曖昧で得体の知れないものを恐れる気持ちから生まれるのです。

不安な気持ちを整理する方法は、次の記事で紹介している「モーニングノート」がおすすめですよ。

心療内科・メンタルクリニックで診察を受ける

自分では感情を制御できず、身体的な症状も現れているときは、思い切って通院しましょう。

病院とは、心療内科やメンタルクリニックなどのことです。

最初はメンタル系の病院に行くこと自体に不安があるでしょう。

ぼくも2013年に初めてうつ病になったときはそうでしたので、その気持ちはよくわかりますが、それでも早めの通院をおすすめします。

精神疾患は、対処が早ければ早いほど治るのも早いからです。

1人では不安なら、家族や友人に同行してもらいましょう。

病院選びのポイントは、次の記事で紹介しています。

中国では、ストレスによって情緒不安定になったことのある人が85.7%

世間一般の人は、どれくらいの確率で情緒不安定になっているのでしょうか?

こんな苦しい思いをしているのは私だけなのか、気になりますよね。

ここでは中国の傾向を紹介します。

中国青年報社・社会調査センターが実施した調査によると、ストレスによって情緒不安定になった人が85.7%もいるとこのこと。

情緒不安定の症状は、次のようなものだそうです。

アンケート調査の結果では、「むやみに怒る」が62.0%、「ふさぎ込む」が48.2%、「やたらと物を投げつける」が30.9%、「下品な言葉を話す」が26.7%、「大いに泣く」が19.2%を占めた。

引用元:ロイター

9割近くの人が情緒不安定を経験し、喜怒哀楽を制御できなくなったり、人や物に当たったりしているようですね。

他国のデータではありますが、同じアジア人ですから参考にはなると思います。

「ストレス社会」と言われる現代において、情緒不安定の予防と対策はますます重要になりそうです。

気分を安定させるためには、生活を安定させること

これはあくまでも経験則ですが、気分を安定させるためには、生活を安定させるのが1番だと思います。

やはり徹夜が続くなど、食事や睡眠もままならないほど忙しなく暮らしていると、メンタルが不安定になりますからね。

若い頃なら栄養ドリンクと「やる気」でごまかせますが、歳を重ねるごとにそうはいかなくなる。

それがあたり前ですから、感情の起伏が激しくなったときは生活習慣を見直してください。

きっと情緒不安定になる原因があるはずです。

ミラクリから一言

気持ちが安定していれば、たいていのことは乗り切れる。

トシノリ
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