「媚びる人」を見たことはありませんか?
たとえば有力者に近づき、お世辞やヨイショを駆使して出世を狙う人。
あるいは「猫なで声」で異性に近づき、がっちり居場所を確保するような人ですね。
そのような姿は、見ていて気持ちのいいものではないと思います。
自分に害がなければ放っておけばいいのですが、どうしても気になってしまいますよね。
では、なぜ彼らはそこまで露骨な態度を取ることができるのでしょうか?
なぜ媚びるのでしょうか?
今回は、媚びる人の心理と特徴を紹介します。
「媚びる」とは?
媚びるとは、相手に気に入られるように振る舞うことを言います。
下心を持って人の機嫌を取ったり、褒めたりすることで、相手の注意を引くこと。
「媚びへつらう」とか、「あざとい」とか、「ゴマすり」と表現されることもあります。
媚びるという行為は、一般的に自分よりも目上の人や権力のある人、つまり「自分に対して何かしらのメリットをもたらす人」に対して行うものです。
また、異性の気を引くために行われることもあります。
「あざとい」とされ、嫌われる原因になる
「媚びる人」は、嫌われます。
なぜかというと、損得勘定だけで行動したり、自分のメリットだけを追求するような行為は、周りから見て気持ちのいいものではないからです。
会社で働いている人ならば、「田中さんの媚び方はうざい」とか、「佐藤さんはゴマすり」という話を聞いたことがあるでしょう。
媚びへつらいが行き過ぎると、人間関係に支障をきたします。
媚びる人の心理
では、人はなぜ媚びるのでしょうか?
その心理を解説します。
集団の中で居場所を確立したい
まずは「集団の中で居場所を確立したい」という心理があります。
たとえば会社の中で重要な仕事を任されるような立場になる。
あるいは、発言力のあるママ友と懇意にすることで、有利な立場になろうとするようなことですね。
ポジションを確立しなければ安心できない人は、そのためならどんな手段でも使います。
権力のある人(有力者)に近づきたい
媚びるのは、権力のある人(有力者)に近づくためでもあります。
たとえば権力者に気に入られることで、新しい仕事をゲットする。
いわゆる「出世コース」に乗るために、上司に媚びながら社内政治を生き抜く場合もあるでしょう。
お笑い芸人の世界でも、事務所の先輩やプロデューサーとのパイプは何よりも大きいと言います。
媚びる人の中には、「実力を磨くよりも人脈を作ったほうが早い」と考えている人もいるかもしれません。
人に好かれたい(嫌われたくない)
媚びるのは、基本的に人に好かれたいからです。
それと同時に、「嫌われたくない」という心理も。
有力者やその取り巻きに媚びていれば、少なくとも嫌われることはない。
うまくいけば可愛がってもらえ、何かしらの特権を与えてもらえる。
人に嫌われることのストレスを回避する、1つの手段です。
自尊心(自己評価)が低い
媚びるのは、自尊心(自己評価)の低さが原因の場合もあります。
つまり自分に自信がないので、人の力に乗っかろうとするということですね。
容姿や実力に自信がなければ、自信のある人の近くに行き、その「おこぼれ」にあやかるのも1つの生存戦略です。
会社の社内政治をかいくぐりつつ、長く勤めるような人には、このようなタイプが多いようです。
自尊心が低い人の特徴は、次の記事で。
媚びる人の特徴
では、媚びる人にはどのような特徴があるのでしょうか?
主なポイントをまとめてみました。
いつでも愛想よく振る舞う
媚びる人は、基本的にいつでも愛想よく振る舞います。
彼らにとって、その場の空気を壊すことは何よりも致命傷になるからです。
とくに有力者の前では、徹底してご機嫌な態度を取るでしょう。
もちろん不機嫌なときもありますが、有力者の前では決してその姿を見せません。
見せるのは、有力者以外の人、つまり「どうでもいい」と思っている人にだけです。
お世辞(社交辞令)が上手
媚を売る人は、お世辞(社交辞令)がとにかく上手です。
課長を持ち上げたり、部長をヨイショするのはお手の物。
気になる男性(女性)を褒め倒して、その気にさせることにも長けています。
そういうところが嫌われる原因にもなるのですが、媚を売られたほうは意外に気づかないもの。
「君、おもしろいね」とか、「今度あの仕事をやってみなよ」などと言って、媚びる人の望みどおりの褒美を与えてしまいます。
このようなアプローチは、「人望が厚い人」の真逆ですね。
自分の意見を主張せず、同調する
媚びる人は、自分の意見を主張せず、同調することに終始します。
なぜなら自分の意見を提示した時点で、「白」か「黒」のどちらかに付くことになり、失敗のリスクが50%になるからです。
ですから、たとえばママ友の間で「ランチは何がいい?」と聞かれたときは、「あのお蕎麦屋さんも美味しかったけれど、あそこのイタリアンもおすすめ」などと言い、決して先導はしません。
会社の会議でも、白黒どちらとも取れる意見を述べ、まるで政治家のように振る舞います。
そして最終的に結果が出たときに、「やっぱり」とか、「さすがは部長」などと言い、美味しいほうに付くのです。
実力のある人ほど会社の派閥争いから孤立する理由は、このあたりにあります。
挨拶やお礼を欠かさない
媚びる人は、挨拶やお礼を欠かしません。
ここまで読めばもうお分かりかと思いますが、とくに有力者に対する挨拶はあからさまに丁寧です。
飲み会では、社内の実力者にお酒をついでまわり、行事ごとのときは社長をぴったりマーク。
落としたい男性がいるならば、プレゼントや手紙を駆使して、誠実さをアピールします。
礼節を重んじるのは素晴らしいことですが、あまりにもあからさまだと顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまいます。
二面性をうまく使い分ける
媚びる人は、二面性をうまく使い分けます。
二面性をもう少し具体的にいうと、「表の顔と裏の顔」とか、「本音と建前」ですね。
先輩の前では超ぶりっ子なのに、後輩の前では仏頂面。
権力者の前では爽やか好青年なのに、関係者には上から目線。
このような表情の使い分けは、芸能界の裏話でもよく語られることですよね。
毀誉褒貶の激しい世界ほど、このような露骨な態度は日常茶飯事です。
媚の売り方は男女で微妙に異なる
ちなみに媚の売り方は、男女で微妙に異なります。
ぼくが今まで目にしてきた事例をまとめてみました。
男性は「虎の威を借る狐タイプ」が多い
まずは男性の媚の売り方から。
その特徴をまとめてみました。
- 飲み会(行事ごと)には必ず参加する
- 権力者の横に陣取る
- 声がでかい
- 「ヨイショ」ばかりする
- 自分の意見は決して言わない
男性は「虎の威を借る狐タイプ」が多いです。
ドラえもんでいえば、「スネ夫」のような人ですね。
力のある人の威光を借りるために、常について回り、まるでマネージャーのように振る舞う。
有力者を気持ちよくさせるような言動を心がけながら、周囲に対しては権力を誇示するのです。
女性は「チヤホヤされたいタイプ」が多い
次は女性の媚の売り方です。
その特徴をまとめてみました。
- イケメンや有力者に積極的に近づく
- 「猫なで声」や「上目遣い」をうまく使う
- 絶妙なタイミングでおねだりする
- 相手のことを褒めまくる
- 距離感が近い(スキンシップなど)
女性は「チヤホヤされたいタイプ」が多いように思います。
出世とか、昇給とか、新しい仕事の獲得を狙うこともありますが、それよりも「男性を思いのままに操っている」ことを実感し、誇示したい。
自称「おじさんキラー」も多いですからね。
あえて「不思議ちゃん」を演じる人もいます。
媚びない人間になる方法
では、どうすれば媚びない人間になれるのでしょうか?
人間ですから、ときには実利ほしさに媚を売ったり、自分を押し殺してでも人に好かれようとしてしまいますよね。
実力で勝負する、硬派な人間になれるのでしょうか?
誰に対しても同じ態度で接する
媚びない人間になるためには、誰に対しても同じ態度で接すること。
これはできているようで、意外にできていないことです。
いささか極端な例ですが、勤め先の会社の社長に対する態度と、大学の後輩に対する態度が同じだったらおかしいですからね。笑
ただ、好かれる人は極めて公平です。
たとえばハーフタレントのローラさんは、芸能界の大御所だろうが、若手タレントだろうが、誰に対してもあの可愛らしいタメ口で話すそうです。
タメ口の良し悪しはさておき、人を選ばないあり方が好かれる要因になっているのは間違いありません。
嫌われる覚悟を持つ
媚を売らない人になるためには、嫌われる覚悟を持つことも大切です。
人間、どのように生きたとしても必ず誰かには嫌われるからです。
たとえば道端でゴミを見かけたら、すぐに拾って捨てるような誠実な人でも、穿った見方をする人は「善人ぶりやがって」と思うでしょう。
100%誰にも嫌われないなんてことは、ありえません。
それならば、もっと自由に生きましょう。
「嫌われる勇気」を持てば、何だってできるのですから。
男性が思う、女性の媚びてる言動は「ボディタッチ」など
では、世間一般の人は、どのような行為を「媚び」と認識するのでしょうか?
ここではゼクシィが行った「オンナの“媚びてる”言動」のアンケートを引用しますね。
20代〜30代の男性に「女性のどんな言動に『男に媚びてる』と感じますか?」と質問したところ、次のような回答が得られたそうです。
女性のどんな言動に『男に媚びてる』と感じますか?
- 1位:ボディタッチ
- 1位:声のトーンが上がる
- 3位:体を密着させてくる
- 4位:彼氏がいないことを強調してくる
- 5位:すぐにふたりで会いたがる
引用元:ゼクシィ
やはりスキンシップをしたり、あからさまな「ぶりっこ」が上位ですね。
ちなみに同じ男性に「“媚びる”女性をどう思いますか?」と質問すると、「少し不快」が47%で1位だったそうです。
ということは、「悪い気はしない」という気持ちも少なからずあるのかも…。
媚びられたときの印象は様々ですが、少なくとも好意的に見る人は少ないようです。
媚を売ってまで手に入れたものに、価値はあるのか?
媚びることは、決して悪いことではありません。
それを禁じるような法律はありませんし、ときには家族のために、犠牲をいとわず昇給を狙う時期もあるでしょう。
ただ、有力者に媚びたくなったときは、一度立ち止まって考えてみてください。
「媚を売ってまで手に入れたものに、価値はあるのか?」と。
その答えが「イエス」ならゴマすりに精を出せばいいですが、「ノー」なら止めてしまいましょう。
本心を押し殺すのは不健康ですからね。
また、媚びることで出世していく「世渡り上手」に腹が立ったとしても、そのまま放っておきましょう。
つながりで得た地位は、つながりで失うのが常ですから。
ミラクリから一言
有力者だけに夢中で、周囲をないがしろにしていたら、後々たいへんなことになります。