先日、あるクリエイターから、おもしろい話を聞きました。
その方によると「熱中できない仕事」には、メリットがあるのだとか。
「好きな仕事」をやっている人には見えない世界があるのだそうです。
それは、どういったことなのでしょうか?
映画製作も、執筆も「一番やりたい仕事」ではなかった
「俺にとって、映画製作も、執筆も、企画も、「一番やりたい仕事」じゃなかったんだよ。
たまたま目の前に降ってきたから、なんとなく始めただけで。
もう30年以上になるけど、一度たりとも熱中したことがない。
我を忘れて、寝食を忘れて没頭したこともない。
むしろ「退屈だ」と思い続けているのかもしれない。」
没頭できないから、俯瞰できる
「最近は「好きなことを仕事にしよう」みたいなのが流行っているみたいだけど、俺にはよくわからない。
俺の場合、好きじゃないから、没頭できないから、俯瞰できるわけで。
いつもちょっと引いたところから、作品を見ている。
業界の人達とも群れないし、パーティーなんかも絶対に行かない。
大好きな仕事だったら、喜んで足を運んでいたんだろうけど。」
俯瞰できるから、熱中している人たちよりも気付く
「好きなことを仕事にすれば、人生の楽しみが増えるって話なんだろうけど。
俺はそうは思わないよ。
好きな仕事をしている奴は、熱中するあまりに「盲点」ができるから。
むしろ俺のように冷静で客観的な奴は、好きでやっているような奴には絶対見えないものが見えるわけ。
「今の仕事が好きですか?」と聞かれれば「?」だけど、少なくとも楽しいよ。」
「この仕事が好きです」なんて、お客さんには関係ない
「だって、よく考えてみて?
「ぼくはこの仕事が大好きなんです!」なんて、お客さんからすればどうでも良いわけだから。
関係ないんだよ、そんなの。
大好きな仕事なら、ストレスが少ないのかもしれないし、苦労も耐えられるのかもしれないけど。
俺は今の仕事が好きだなんて、一度も思ったことはない。
逆にいうと、人生を賭けていないから、嫌いになることもなければ、絶望することもないんだ。」
退屈な仕事に就いたら、「よっしゃ!」と思えばいい
「退屈な仕事に就いた時点で、ものすごいチャンスを手にしたんだよ。
みんなが「好きなことをやらなきゃ」という風にのっている中で、1人冷静に、淡々と仕事ができるんだから。
「まだいい人がいるかも?」と躊躇している間に、いま付き合っている人と結婚して、幸せな家庭を築く奴がいるのと同じだよ。
仕事が退屈で、熱中できない。
そんな奴にしかできないことが絶対ある。
「よっしゃ!」と思えばいいんだ。」
仕事が退屈でも、絶望することはない
「好きなことを仕事にするべきだ」という主張をあちこちで聞くようになりました。
ぼく自身も、そういった趣旨の相談を受けることが増えています。
もしかすると、社会の大きな流れに囚われすぎなのかも。
退屈な仕事に就いたからって、絶望することはないのかも。
思いがけないメリットがあるのだから。
そのクリエイターは、説得力のある言葉を残して、フランスの展示会へと旅立っていきました。
ミラクリから一言
「好きでやっているような奴には絶対見えないものが見える」って、なんかカッコいいね。