ぼくは2013年の12月にうつ病を患い、年末で会社を退職しました。うつ病であることを宣告されてから3週間で退職したため、周囲の人からは「食べていけるのか?」というご心配をいただきましたが、家族・親族と相談して決断したことでした。
今となっては、会社を退職したことはうつ病対策として正解だったと感じています。生真面目な性格をしている人ほど、会社を退職したほうがゆっくりと休養ができると思います。
鬱で休職した人の40%が退職
まず、うつ病で休職した人の「その後」については、このようなデータがあります。
うつ病などメンタルヘルスの不調で会社を休職した社員の42.3%が、休職制度の利用中や職場復帰後に退職しているとの調査結果を労働政策研究・研修機構(東京)が18日までにまとめた。休職できる期間が短く治療が十分でないことや、復職後の支援体制が不十分なことが退職の背景にあるとみられる。
調査は2012年11月に実施、5,904社が回答した。調査結果によると、過去3年間にメンタル不調を理由に休職制度を利用した社員の退職率は全疾病平均の37.8%を4.5ポイント上回った。
引用元:47NEWS
このデータは最近知りました。
ぼくが仕事を辞めるべきか?それとも休職するべきか?と悩んでいるときに、うつ病経験者たちに話を聞いたのですが、約半数の人が休職した後に退職したり、職場復帰した後にうつ病を再発させていたのです。
やはり同じ環境にい続けていては、うつ病は治りにくいのではないでしょうか?
休職することの罪悪感
うつ病(鬱)になりやすい人の性格:8つの共通点という記事にも書きましたが、うつ病を患うような人は、生真面目な性格をしている人が多いものです。ストイックに仕事を頑張りすぎたり、人の何倍も細かいことで悩んでしまったからこそ、鬱を発症するんですよね。
そのような人が会社を休職したらどう感じるでしょうか?
「せっかく会社を休むのだから、ゆっくりさせてもらう」と思えるでしょうか?それよりも「休職することで同僚たちに迷惑をかけてしまう…」と悩んでしまうのではないでしょうか。そして「職場復帰できるのだろうか?」「同僚や上司との人間関係は大丈夫だろうか?」「会社の待遇が悪くなったりしないだろうか?」などと悩みの種は尽きません。
すり減ったメンタルを回復させるために仕事を休んだのに、これでは苦しみながら会社で働いてるほうがマシだった…みたいなことになってしまいます。生真面目な性格の人ほど「休むことへの罪悪感」が大きいもので、うつ病を克服するためにはネックとなってしまいます。
一方で休職を選択すれば、傷病手当金で給与を受け取ることができるため、当面のお金の心配をする必要はないというメリットもあるのは事実です。
ご自分の性格を考えて、退職してうつ病を完全に克服するのか?それとも休職しながら傷病手当金をもらうのか?を考えてみてください。
退職することでストレスが緩和される
うつ病で仕事を辞める決断をした理由という記事でも紹介しましたが、うつ病の原因が職場になることもあるでしょう。人間関係、トラブル、不安、燃え尽き症候群、パワハラ、セクハラ、モラハラ…などなど、職場に鬱のタネがあるのであれば、環境を変えなければうつ病を克服することはできません。
メンタルの調子が良くなり、会社に復帰したとしても、そこにあるのは以前と同じ環境です。当時も不安に感じていたことが改善されていることはありませんし、苦手だった人が退職しているわけでもありません。考え方がポジティブであれば、多少なりとも前向きに行動できますが、それでも時間をかけて同じように悩んでいくでしょう。
「会社を辞めるべきタイミング」については以下の記事で解説しています。
「哀れなうつ病患者」と思われることに悩む人も
会社に復帰したときに悩むことは、同僚たちから「哀れなうつ病患者」という目で見られることです。これは自意識過剰になっている面もたしかにありますが、それでも健康に働いている同僚たちとは異質であることは間違いないでしょう。
この状態が進行してくると…
- 仕事を任されることが減った
- みんなから気を遣われている
- 飲み会に誘われなくなった
- 出世・昇給に影響するのでは?
という悩みを抱えることになります。
周囲に相談しても「そんなことはないよ!」と言われるでしょうが、本人が一度そう感じてしまったことを、ポジティブに考えることはなかなかできないものです。そうしているうちに、うつ病再発の原因となるタネがどんどん大きくなってしまうのです。
ゆっくり休養して完全に克服すること
ぼくはこの記事を書いている時点で、うつ病が完治してから一年半が経過しています。今でも気分の浮き沈みが激しかったり、時折ネガティブに考えてしまうこともありますが、それでも当時の鬱症状と比較すると楽なものです。
動悸が激しくなる、緊張して脚が震える、対人恐怖症、そのような症状は現れていませんからね。
病院でうつ病と宣告されてから、すぐに家族と相談して、会社を退職する道を選んだことは、自分にとっては良かったと思います。そして完治した後も、転職せずにフリーランスとして独立することを選んだことも、最良の判断だったと思います。
いくら傷病手当金をもらえるとは言え、人に気を遣いながら休養して克服できる自信はぼくにはありませんでした。生真面目なうえに小心者、そんな性格の人が休職をしても、「申し訳ない…」という気持ちが勝ってしまい、メンタルを休めることはできなかったでしょう。
うつ病の克服にベストな選択は?
うつ病で会社を退職したときのリアルを綴った記事は、とても多くの人に読まれましたが、賛否両論でした。「感動した」「勇気をもらった」という人もいれば、「退職するなんて…生活費はどうするんだ!?」「環境を変えることがストレスになる人もいる」というコメントもありました。
当然だと思います。
人それぞれの性格や家庭環境、そしてライフスタイルがあるのですから、万人に当てはまるものではありません。でも、ぼくが今こうして元気に仕事をしていることも事実だと思うのです。同じ状況に悩む人の勇気に、メンタルの病を克服するためのヒントに、鬱予防・対策になればうれしいです。
休職するか?退職するか?
その判断をするときには、転職サービスで労働市場をのぞいておくことも大切です。いま勤めている会社だけが全てではないことが分かれば、うつ病を克服するための選択肢は広がります。いま考えてみれば、ぼくももっと転職市場をリサーチしていれば、もう少し気分的に楽だったかもしれません。
転職サイトはどんどん進化していますよ。いちど試してみてはいかがでしょうか?
*文末リンク
参考:これが鬱病(うつ)だ!14個の症状をチェックして早期治療を。
参考:サラリーマンに向いている?向いていない?性格診断10項目
ミラクリから一言
思い切って環境を変えるのも手段の一つ!