小林敏徳のコラム

ソーシャルディスタンスと「気持ちのつながり」

近所の方から子供用マスクをいただいた。

驚いた。

近所のドラッグストアはどこも売り切れだし、買うには早朝から並ぶ必要がある。今は自作の布マスクでしのいでいるが、この状況で、市販のマスクはいくらでもほしいくらいだ。

マスクをくれた人は、60代の女性である。すでに子育ては終えていて、息子さんはいずれも30代。まだ孫はいないから、子供用マスクが必要なはずはない。

「どうやって手に入れたんですか?」と聞くと、「いや、慌てて買ったら子供用やったから、せっかくやし、必要な人に使ってもらったほうがいいと思って」と言われた。

なんとなく嘘だと思った。

もちろん「いい嘘」である。

パッケージには思いっきり「キッズ」「子供用」と書いてあるし、どれだけ慌てていても見逃すはずはない。おそらく子供用マスクを見つけて、ぼくたち家族を思い出してくれたのだろう。

今は言うまでもなく非常事態である。全世界的にコロナウィルスの感染が広がり、日に日に死亡者も増えている。日本の首都、東京では1日に100人以上の感染が確認され、ついに政府が緊急事態宣言をだした。

誰もが不安を感じ、痛みを抱えている。

「コロナウィルスはインフルエンザとさほど変わらない」という意見もあるが、たとえそうだとしても、確実な対処法が見つからないかぎり人々の不安はなくならない。

身近な人や、テレビで見ていた人が亡くなっていくのを眺めるしかないのか。できる限りの対策はしつつ、あとは感染しないよう祈るしかないのか。あまりにも無力な状態が続いている。

そんな状況で人を思いやれる人は偉大だ。子供用マスクをくれた人は、完全に偉大である。非常事態に他人を思いやれる人間性が偉大なのだ。

今日、人に会うとき、ふと手土産を買っていこうと思った。ドラッグストアに寄ってみたが、あいかわらず医療品は品薄だったから、お菓子を買うことにした。800円のクッキーの詰め合わせだ。

普段はあまり手土産を買わない。でもなんとなく、子供用マスクをくれた人からはじまる連鎖を止めてはいけないと思った。「ソーシャルディスタンス」は重要だが、気持ちはつなげたいと思った。

知り合いの飲食店が大変だ。知り合いの美容室も大変だ。IT系の会社を経営している人も、大型デパートで働く人も、家でひたすら家族と過ごしている人も大変だ。

だからこそ気持ちだけはつなげたい。

誰もが苦しいときに、誰かを思いやる気持ちを。

トシノリ
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