小林敏徳のコラム

無気力になるのは、「怠け者だから」ではなかった

仕事が1年以上続かない男性

こんなことがあった。

ある男性から連絡があり、会いに行ったら、「仕事をしたくない」と言う。事実、2ヶ月前に仕事を辞めてから何もしていないそうだ。一人暮らしで、誰かに咎められることもないから、とりあえずダラダラしている。目標はない。金も潤沢とは言えないから、とりあえず切り詰めて生活している。見るからにどんよりしていて覇気がない。

いわゆる「無気力」である。

経験上、ここまできた人に「がんばれ」と言ってはいけない。「目標を持ちなよ」もだめ。「運動したほうがいい」もよくない。とにかく希望がなくて、動く気すらないのだから。

彼は言う。

「ぼくは仕事が続かないんです。社会人になってから、すでに8社目。1年続けばいい方で、だいたい半年くらいで辞めてしまいます。この前の会社もそう。上司とうまくいかず、5ヶ月で辞めました。」

なかなか大変な人物である。見たところ性格がぶっ飛んでいるわけではないし、奇抜な価値観を持っているわけではない。こうしてぼくと会っている時点で社交もできるし、言葉遣いも丁寧だ。

彼はなぜ無気力なのか。

宿題がまったくできない子供

別の時期に、こんなこともあった。知り合いの子供の宿題を見たときのこと。

彼は普段は元気いっぱいなのだが、「宿題」というワードが出た途端に別人になる。まぁ子供ならよくあることなのだが、あまりにも極端なのだ。

口をぐっと閉じて、眠たそうな顔をする。かろうじて机には座るが、集中力が散漫で、すぐに机の上に伏してしまう。なんとか励まして一緒にやろうとしても、5分も経てばまた机に伏す。それが2時間も3時間も続く。

知り合いの子とはいえ、さすがにげんなりした。

この子はなぜ無気力なのか。

「自分がうまくできるイメージはある?」

この2人に、質問を投げてみた。

「自分がうまくできるイメージはある?」

それぞれの答えは「ない」だった。

仕事、友達、かけっこ、Nintendo Switchなど。

具体的な事柄でも質問してみたが、答えは同じく「ない」だった。

「自己評価が低い」という共通点

2人に話を聞き、自分なりに考察してみた。

仕事が続かない彼は厳しい家庭で育ったらしく、褒められた経験があまりないらしい。いい大学には入れたが、自己評価が極端に低く、社会人になって何かが崩壊したようだ。

宿題が嫌いな子供は、同じく厳しい親のもとでよく怒られている。「ほんとにバカだな」「わからないの?」「どうせできないんでしょ」と怒鳴られ、かわいそうに思うことも多々あった。自己評価が極端に低く、小学生にしては珍しく「どうせ」を多用する。

2人の共通点は、「自己評価が低い」だった。

自己評価の低さが、無気力につながる

自己評価が低いと、希望を持って物事に取り組むのが難しくなる。

うまくいくより、失敗のイメージのほうが鮮明で、褒められるより、怒られるイメージのほうがリアルだからだ。

失敗のイメージを持つと、そのストレスに備えて準備を始める。つまり、失敗する前提で物事に臨むようになる。

それが行き過ぎて無気力になるのだ。

無気力になるのは、「怠け者だから」ではなかった。

好きなことになると、2人は別人になった

褒めてあげたい。カラカラに枯れた心に少しでも水をあげたい。

そう思って、褒めてみた。

仕事が続かない彼は、読書が大好きらしく、本の話になると目を輝かせた。紹介してもらった本をその場でAmazonに発注すると、初めて聞く甲高い声で「また感想を教えてください」と言った。

読書家の彼を、ぼくなりに、言葉と態度で褒めた。

宿題が嫌いな子供は、ポケモンが大好きらしく、ポケモンの話になると饒舌になった。図鑑で見せてくれた好きなポケモンをメモすると、大きな声で「次会うときまでに好きなポケモン見つけてな」と言った。

ポケモン博士の彼を、ぼくなりに、言葉と態度で褒めた。

彼らの無気力は、たぶん、彼らのせいではない

ぼくなりの「褒め」が、彼らにどんな影響を与えたかはわからない。

仕事が続かない彼はあいかわらず仕事に就いていないようだし、宿題が嫌いな子供はあいかわらずよく怒られている。

それでも彼らの無気力は、たぶん、彼らのせいではないと思うのだ。

やる気、モチベーション、刺激、成長、自分に勝つ。

そんな言葉でやっつけられるほど、簡単なものではないと思うのだ。

ミラクリから一言

「無気力=怠け者」は完全に間違い。

トシノリ
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