ミラクリ

鬱から成功するブログ

「心の傷が癒えた」ことに気づく日

スポンサーリンク


帰りの電車では、みんな無言だった。

1時間もの間、何も食べず、恒例になっていた缶ビールも飲まず、さっきの打ち合わせを頭のなかで再現していた。

かろうじて反応できたのは、隣の席にいた子供がキーホルダーを落としたときだけだった。

窓から見える風景を楽しむ余裕はないが、検討すべきことは山ほどある。

このトラブルにどう対処するか、対処するための費用はどうするのか、先方をどう説得するのか。

一般社員が何かを決められる会社ではないとわかっているのに、頭のなかでいくつも案を考えた。

そうでもしなければ、正常でいられる自信がなかったからだ。

「あのお方の機嫌を損ねるな」という大義名分のもと、真実を語ることを禁じられたぼくは、じっと黙って罵倒に耐えるしかなかった。

本当は自分の責任であるとわかっている”あのお方”が、目の前で微笑んでいるように見えたときは、腹が立つというよりも、背筋が寒くなった。

「裏切り」という言葉では、とても足りない。

「保身」という表現でも、十分ではない。

まるでそれが真実であるかのような振る舞いを見て、人間の浅ましさと、ある種の強さを思い知らされた。

同時に、「しがらみ」というものの重さも。

この件は本来、8,000歩譲ってもこちらの責任は20%というところだが、現実はそうではない。

もっと慎重に事を進めるべきだったが、時すでに遅しだ。

悔しかったし、情けなかった。

それ以降、簡単に人を信じることができなくなった。

イヤな思い出というのは、いつまでも心に残る。

ちょっとした切り傷くらいならすぐに治るが、かさぶたができたり、縫合したりすると、肌の表面に傷痕が残る。

心の傷もそれと同じで、その出来事による傷が深ければ深いほどしばらく流血し、その後かさぶたになって、傷痕になる。

ときにはトラウマという火傷痕のようなものを残すこともあるだろう。

肌の傷なら治癒したことが一目でわかるが、心の傷はそうはいかない。

「もう平気」と叫ぶときは、たいていまだ気にしている。

「すっかり忘れた」と言うときは、たいてい強がっている。

本当に心の傷が治癒したときは、話のネタにすることはおろか、思い出すことさえもなくなったときではないだろうか。

残念ながら、心に刻まれた傷痕が消えたかどうかを知る術はない。

あるとき、その出来事を思い出すことがなくなった自分に気づくだけで。

そして、その瞬間には心の傷が治癒しているので、腹が立った人のことも、裏切りに対する失望も、どうでもよくなっている。

あぁ、そんなこともあったな、という感じだろう。

どれだけ辛いことだって、嫌なことだって、5年もたてば忘れる。

忘れられなくても、思い出す回数は減っているはずだ。

これから大変なことがあったときは、今日のことを思い出そう。

夜も眠れないくらい苦しんだあの出来事を、まるで他人事のように思い出した今日のことを。

 - 小林敏徳のコラム

記事下アドセンス

記事下アドセンス

RELATED ENTRY

-関連記事-

「とにかくやってみる」の希少価値
「帰る場所がある」って、うらやましい。

  「生まれ育った地元」がある人のことを、うらやましく感じるんです。   ぼくは親の仕事の都合で、山口県で生まれて、長野県で育ちました。中学 …

「妥協の恋」はうまくいかない

新しいカメラを買いました。いまだにメーカーや機種の知識ゼロなんですけど、寝るとき以外、いつも首からぶら下げる勢いで使い倒してます。 はぁぁぁ、本当に買ってよかっ …

「直感と不安」をわけて考える
「人の役に立っている」という感覚さえあれば
「怒ってもらえたことに感謝」は社交辞令で、本当はトラウマでしかなかった

ある方から「怒ってもらえたことに感謝している」という話を聞きました。 この手の話はよく聞くわけですが、あらためてすごいなと思った次第です。 ぼくは「怒られたこと …

「変わってる人」の法則と3つの特徴

ついに「変わってる人」の法則を発見したんです。 「ぼくは変わってるんですよ〜」という自称変人は、かなりの確率で普通だったりしますよね。 昔は、常識にあてはまらな …

「止めるべきか、続けるべきか」の答えがある場所
退屈な「自分語り」が「他人語り」になる未来
イジメにあったら、逃げるしかないらしい。

  「もしイジメにあったら、環境を変えよう。」   ぼくの過去の経験から、イジメ相談をしてくる人には、そうアドバイスしています。 &nbsp …