メンタル

うつ病の人への正しい接し方と、間違った接し方

ぼくは2013年の12月に、会社で働きながらうつ病(鬱病)を発症して、会社を退職しました。

それまでは自分のメンタルは強いと思っていたのに、ある日突然のように始まったうつ症状には戸惑いました。会社に行くだけで足が震える… 同僚と話すだけで緊張して汗だくになる… 仕事中にずっと手が震えている… 何をするにもやる気がでずに無気力…など、あの日々は二度と戻りたくはありません。

いまは家族、知人、友達の協力によって回復し、フリーランスとして仕事をしていますが、うつ病にかかった当時の体験談として、うつ病の人への接し方で間違っていること、大切なことを紹介していきます。

うつ病の人への間違った接し方

肯定せずに否定する

うつ病を患った人は「メンタルが弱い弱者」のような目で見られてしまいます。メンタルヘルスへの理解が進んできたとはいえ、身近な人がうつ病を発症して大変なことになったという人は少ないものです。

他の人にそうするように「お前が悪い!」「メンタルが弱いのは自己責任だ!」などと厳しく接してしまうのは逆効果で、なぜなら今までさんざん自己否定を繰り返してきたからこそうつ病になったのです。

まずは患者のすべてを肯定し、否定するのをやめましょう。

ノイローゼ(精神病)扱いをする

うつ病になると、とても恥ずかしいんですよ。

やはり「精神病のような目で見られたくない」という意識が生まれ、そして自意識や被害妄想も過剰になっています。そこで周囲が「ひそひそ…」という奇異の目で見てしまうと、それを敏感に感じ取って、また深い鬱へ入ってしまうのです。

あくまで普通に接して欲しい。

「今はちょっと調子が悪い」ぐらいの雰囲気で接してあげると、患者はとても楽になります。

うつ症状を詳しく聞き出そうとする

「うつ病ってどんな感じなの?」と繰り返し聞かれることもキツイです。もちろん身体的、メンタル的な症状は自分が一番理解していますが、それをあえて言葉で人に説明することで、病気であることがより深くすり込まれてしまいます。

そして、ただでさえ本人はメンタルの病を恥ずかしく思っているのですから、その傷口に塩を塗るようなことはやめて、今の現状をただ受け入れてあげましょう。鬱を理解しようとする熱心な人ほどやってしまいがちですが、それはやめておきましょう。

仕事の話をする

ぼく自身がそうであったように、仕事、仕事のトラブル、会社、職場環境、人間関係(上司・部下・同僚)などが原因となってうつ病を発症した人もいるでしょう。なのに仕事の話を掘り返されると、なんとも言えない緊張感と不安が襲ってくるものです。

休職したり、退職したらひとまずは全てを忘れて休みたい。そこであえて過去の傷を掘り返してしまうと、精神的に辛いものがありますので、まずは休養することだけに専念させてあげましょう。

社会復帰のことは、後から考えても大丈夫です。

不健康さを指摘する

うつ病で休養している人は、家でゆっくりしたり、ゴロゴロしたり、不健康な生活をしてしまうこともあると思います。

これは経験のない人には分からないことですが、鬱になった人は仕事はもちろんのこと、大好きだった趣味、家族(恋人)との時間、すべてにおいて無気力になるのです。

今では仕事のときだけ発症する「新型うつ病」というものもあるようですが、それは単なるイヤイヤ病に近いもので、オフの時間になると元気に遊びに行けてしまいます。本当の鬱病の人は全てにおいて無気力になるので、不健康な生活習慣であることに自己嫌悪しつつも、致し方なくゆっくりしていることを理解しましょう。

叱咤激励をする

「がんばれ!」「甘えるな!」などの叱咤激励は、うつ病患者に言ってはいけない禁句であることへの理解は深まりつつあります。精神が燃え尽きるほど頑張ってきたからこそ、いま目の前で苦しんでいることを理解して、まずはありのままを受け入れましょう。

きっとうつ病患者の甘えを感じることもあると思います。

「自分はこんなに頑張っているのに、この人はこれっぽっちで病んで情けない」と思ってしまうこともあるかもしれませんが、ストレス耐性は比較できるものではないので、叱咤激励するのはやめましょう。

治療薬を見ておもしろがる

うつ病の人にとってもっとも辛いことは、心療内科から治療用に処方された薬を見て、人から笑われることです。いわゆる精神安定剤睡眠薬は、人によっては一生無関係なものであり、持っているだけで好奇の目で見られてしまうことがあります。

今やうつ病は恥ずかしい病気ではなく、仕事が忙しくて、そこらじゅうにストレスのタネがある現代社会では、誰もが発症してもおかしくはないのです。薬を見せてもらうなど、おもしろ半分に対応したり、小手先の気遣いをみせることはやめましょう。

家族のうつ病をサポートするときは、より注意してくださいね。

正しい接し方をしてくれた家族・友人に感謝

ここまではうつ病の人への間違った接し方を紹介してきましたが、ぼくの家族や友人や、その真逆の接し方をしてくれました。

彼らは自ら知識をつけてぼくに接してくれたため、恥ずかしい思いをしたり、辛い言葉を投げつけられることは一度もありませんでした。ただ周囲の経験者からは、前述したような辛い体験談と悩みをたくさん聞いてきました。

会社を退職してたった二ヶ月たらずで、病院の医師から「働いてもOK!」と言われたのは、彼らの存在があったからで感謝してもしきれません。協力してくれた人たちのためにも、絶対に再発しないように努力しています。

運動(トレーニング)、食事の節制、瞑想などの習慣でメンタルケアを徹底して行い、今では頭で深く考えることもほとんどなくなりました。これからもうつ病の対策を徹底して行っていきます。

次に、うつ病の人への正しい接し方を解説しますね。

うつ病

正しい接し方のポイント

薬よりも、周囲の協力が効果的

ぼくがそうであったように、うつ病の治療には周囲の協力してもらうことが効果的で、環境整備がもっとも大切です。

もし仕事(職場)が原因になったのであれば、嫌な記憶を忘れられるような環境を作ることです。不要な資料は廃棄して、できるだけ同僚たちとの連絡も断つ、いっときは寂しい思いをするかもしれませんが、元気になればいくらでも再会できるのですから。

今はインターネットのSNS(Facebookなど)で、人の近況を目にしてしまうでしょうが、目にすることで嫌な記憶が呼び起こされるのであれば、いっそのことインターネットを遮断したほうが良いし、強制的にログアウト(退会)するのもひとつの手です。

もしインターネットに夢中になっている患者がいたら、そっとアドバイスをしてあげてください。

うつ病を理解しなくてもいい

「うつ病を理解しなくてもいい」というと乱暴な言い方ですが、今となってはそう思います。

前述しましたが、理解しようと熱心な人ほど患者を追い詰めてしまうことにつながりますので、あくまで「調子の悪い人に接する」ぐらいのスタンスで良いのです。ときには「どうしたら良いのか分からない!」と思うでしょうが、そこは長い目で見てあげてください。

過剰に気を遣ったり、病人扱いをしてしまうと、余計に深い鬱に入ってしまいますからね。

躁鬱症状(気分の浮き沈み)も受け入れる

鬱にかかった人の近くにいることで一番つらいのは、躁鬱症状(気分の浮き沈み)でしょう。気分が落ち込んで無気力になる「鬱症状」だけならまだしも、とくに理由もなく無敵のハイテンションになる「躁状態」を一緒に持っている人もいますからね。

先ほどまでは異常なほど元気だったのに、10分後にはとんでもなく落ち込んでいる…これが同じ人なのか…?と思ってしまう光景を目にすることになります。

それでもグッと我慢をして見守ってあげましょう。

「あなた、そんなことじゃいつまで経っても治らないわよ!」と言いたくなるときもあるでしょうが、躁鬱症状は脳の誤作動なので、できるだけ肯定し、相手が自信をもてるような優しい声をかけてあげてください。

うつ病の回復には周囲の協力が欠かせない

うつ病患者を見守る人にとっては、塩梅が難しいかもしれません。

でもうつ病経験者として、家族と友達がそうしてくれてありがたかった接し方と、間違ったやり方の体験談をまとめてみました。

もし身近な人がうつ病になったときには参考にしてください。

ミラクリから一言

ぼくの体験談が参考になると嬉しいです!

トシノリ
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