うつ病は誰もがなりうる病ですが、なりやすい人には特定の傾向が見られます。
うつ病になりやすい人の傾向を知っておくことで、予防と対策をすることができますよ。
このページでは、うつ病になりやすい人の「性格・気質」「年代」の傾向について、解説していきます。
うつ病になりやすい人の性格・気質
自分の性格や気質について、どれくらい理解しているでしょうか?
性格は後天的に得られるもので、具体的には「貪欲、大胆、親切、物静か、好奇心旺盛、情熱的、社交的」などが挙げられます。
一方、気質は先天的に備わっているもので、「理想主義、思いやり深い、成功を好む、繊細、穏やか、理性的、慎重」などが挙げられ、生涯変わることがありません。
この性格や気質の中には、うつ病を患いやすいものがあります。実は過去にうつ病を患ったぼくも、性格自己診断をしてみると、「うつ病傾向」の性格や気質を持ち合わせていました。
それでは、うつ病を患いやすい主な性格と気質を紹介します。
まじめ、几帳面、完璧主義な性格
うつ病になりやすい人にほとんど共通しているのは、とても真面目で几帳面なことです。
真面目で何に対しても手をぬくことができず、さらに完璧主義の影響で、つい頑張りすぎてしまう傾向にあります。
良いことでもあるのですが、限界を超えるまで頑張るなど、度を超えてしまうのはやはり問題がありますよね。
ある程度のところで「ここまで出来たことを評価しよう」と満足することができず、他人からの評価ばかり気にするため、自己評価がどうしても低くなってしまいます。
つまり「自分で自分を褒める」のが下手であるということです。
自分で言うのはおこがましいですが、ぼくもまじめで几帳面なところがあります。仕事ではより早く、より正確に、タスクをこなしていくことに満足を感じます。その一方で、トラブルやクレームで仕事が順調に進まなくなると、途端にストレスを溜めてしまうのです。
誰かを頼るという選択肢もあるのに、全て自分で処理しなくてはならないような気がして、どんどんとドツボにはまる感じです。こうなるとストレスはどんどん増加し、すぐに軽いうつ気分を起こしてしまうんですよね。
まじめ、几帳面、完璧主義も、「過度」になるのを注意しなくてはなりません。
感情の起伏が激しい、義務感が強い
うつ病になりやすい人は、引っ込み思案で、ネガティブ思考というイメージがありませんか?
それは半分正解で、半分は間違いです。
例えば、普段はポジティブな人でも、急に気分が落ち込んで、悲観的になるような人がいますが、このような感情の起伏が激しい人は、うつ病傾向にあります。
また、義務感が強い人も、異様に高いテンションで仕事に打ち込むため、休日には急激にテンションが下がり、別人のように静かになってしまいます。
つまりポジティブか、ネガティブ等はあまり関係なく、この「感情の起伏」がうつ病と深い関係にあるのです。
ちなみにぼくも感情の起伏が激しいタイプですが、この気質とは一生付き合い続けるしかありません。
気質は基本的に変わらないからといって諦めるのではなく、うつ病を予防するためには、どのような対策が必要なのかを知ることが大切です。そうすることで、ぼくのようにうつ病に苦しまなくても済むでしょう。
自分自身で対策ができそうにない場合は、気軽に心療内科等へ行ってみてください。専門の医師が経験を元にさまざまな対策を教えてくれます。
ぼくの担当医は、「調子が悪いと感じた時点で、気軽に話をしにきてください」といつも話していました。うつ病になる前に、メンタルや身体の不調を感じたときは、気軽に病院に行ってみましょう。
完璧主義というのも、うつ病になりやすい気質です。

うつ病になりやすい年代
年代とうつ病も、実は深い関係にあります。
心身の発達がめまぐるしい思春期、ストレスを抱え込みやすい受験生や就活生。または、バリバリ働いてから定年退職した高齢者なども、うつ病になりやすい傾向にあります。
それぞれを詳しく見てみましょう。
思春期
子どもはみんな天真爛漫でストレスフリーというのは、絵本の世界の話。
子ども達だって、彼らなりに、さまざまなストレスやトラブルを抱えて生きています。
自分と他人を比較し始める小学生になれば、大人とそれほど変わらないような悩みで心を痛めるケースが増えてきます。例えば、いじめなどの学校の問題や、両親の離婚や度重なる転校など、自分の力ではどうしようもない問題もあるでしょう。
とくに思春期になると、ますますその傾向は強くなります。ぼくの思春期を思い出すと、なぜあんなに体型が気になったのだろうか、なぜちょっと失恋したぐらいで学校に行きたくなくなったのだろうかと、今では理解できない情緒不安定な時期がありました。
人からどう見られているのかが気になる、勉強が難しくて授業についていけない、陰湿ないじめに遭うなど、問題はどんどん複雑になっていきます。このような問題が原因でストレスが溜まると、以下のようなうつの症状が見られるようになります。
- 頭痛、腹痛
- 吐き気
- 食欲不振、拒食
- 眠れない
- 元気がない、表情がない
- 怒りっぽくキレやすい
- 不登校、ひきこもり
このような症状を訴えた場合、「心の弱さ」が原因だと言われがちですが、実はそうではありません。確かに子どもは、ちょっと嫌なことがあるだけで「学校に行きたくない」と言うものですから、単なるわがままだと思ってしまうでしょう。
ですが、前述した完璧主義な性格であったり、親からの過度な期待を受けて育った子供の場合、心が弱いのではなく、むしろ助けを求められないからこそ、身体がSOSをだしているのです。
子供がうつ症状を訴えている場合、親や周囲の大人が環境を整えてあげる必要があります。過保護になりすぎず、焦らずに付き合うことが大切。そしてなにより、コミュニケーションが必要不可欠です。
これはうつ病に限ったことではありませんが、小学生がスマホやSNSを始める時代にあって、親子のコミュニケーションは減っています。思春期における親子のコミュニケーションは、思っている以上に大切です。ぜひ親のほうから積極的に話しかけてください。
親が常にコミュニケーションを取ろうとしてくれていることを知るだけでも、子どもにとって大きな安心になるのではないかと思います。
受験生
子どもの頃の一大イベントと言えば、やはり受験ですよね。早ければ幼稚園から受験するでしょう。
受験は、すべての人が合格できるわけではなく、努力しても残念ながら不合格になってしまう場合があります。明確に合否をつきつけられるのは、大人でも精神的なプレッシャーを感じるものですから、子供にとっては「その後の人生すべてが決まる」と考えてしまっても、無理はないように思います。
また、受験生を悩ますのは合否によるストレスだけではありません。親や先生からの過度な期待や、趣味や恋愛などの本当にやりたいことができないなど、精神を追い詰めるような場合があります。
このように状況でストレスを溜めると、以下のうつの症状が見られるようになります。
- 頭痛、腹痛
- 食欲不振、拒食
- 睡眠不足
- 記憶力が低下する
- 勉強しても成績が低下する
- ささいなことにイライラする
- 自分が劣った人間に思える
受験生にありがちなのは、勉強のし過ぎで寝不足になり、みんな自分のことで必死になり、悩みを話せる友だちがいなくなってしまうことです。
勉強のことは気になるかもしれませんが、まずは十分な睡眠時間を取るようにしましょう。寝ている時間がもったいないからと、睡眠不足になればなるほど勉強ははかどりません。脳は、しっかりと睡眠をとることで学習したことを吸収でき、記憶力も高められるのです。
もちろん寝ているばかりではいけませんが、勉強したことを脳にしっかりインプットする時間と考えて、睡眠時間は十分に確保してくださいね。
また、心にたまった鬱憤や愚痴は、どんどんとアウトプットしていきましょう。親はもちろん、友人や先生でも構いません。その行為自体は直接、受験の合格につながらないかもしれませんが、心が穏やかな状態であれば、勉強に集中することができ、受験にも好影響を与えるでしょう。
受験は1人の戦いですが、全てを抱え込む必要はありません。積極的に親や先生、友人とコミュニケーションを取るようにしましょう!
就活生
受験と同じく、人生の一大イベントが就活です。ぼくが学生の頃は就職難でしたから、入学早々「就活」についての指導がスタートし、長期の就職活動が当たり前でした。
夢や希望を抱き就活を始めるのですから、「仕事であればなんでも良い」なんて、なかなか思えないですよね。しかし、この仕事をしたい!この会社で勤めたい!という熱い想いだけではなく、現実的に内定をもらわなくてはなりません。
内定を得るためには、試験や面接などに合格する必要がありますが、残念ながら内定をもらえないこともあります。そうなると、将来に対する希望が劣等感に変わり、挫折感でいっぱいになってしまいます。そして、友人たちがどんどんと内定をもらうようになると、ますますプレッシャーは強まるでしょう。
このようなストレスが増加すると、以下のようなうつの症状が見られるようになります。
- 頭痛、腹痛
- 食欲不振、拒食
- 睡眠不足
- 朝起きることができない
- 動悸、目眩
- 何も楽しめない
- 不安でたまらない
就活で内定がもらえるか否かの結果は、まるで自分という人間がいるか、いらないかの判断をされているような気がするものです。ぼくは学生時代、運よく早めに内定をもらうことができましたが、仲のいい友人はなかなか内定をもらえずに、かなり落ち込んでいました。
とても優秀で人当たりもいい男性でしたが、たまたまその企業との縁がなかっただけだと思います。しかし、度重なる面接での失敗は、彼をどんどんと追い詰めていました。最後の方には、もう自分はどこにも働き先がないと、自己否定をするようになっていました。
結果的に、卒業するまでに就職先が決まりましたが、今でも当時の話をすると、精神的に相当辛かったと言っています。
「好きなことを仕事に!」
「就職したら3年は継続する必要がある!」
「大手企業に勤める人間はやはり質が高い」
だれが言ったか分からないような話が、インターネットなどを通じて、四六時中耳に入ってきますが、就活の時期から気にしすぎる必要はありませんよ!
ますます自分を追い詰めるのではなく、気分転換をしたり、人に相談をしてストレスをしっかり解消しましょう。そして、寝不足や食事の偏りをなくすことに気を配るなど、普段の生活を見なおしてみましょう。
それは時間の無駄ではなく、より軽やかに就活に挑むための準備体操ですから。
高齢者
高齢の方も、実はうつ病になりやすいと言われています。
年齢を重ねると共に、楽しいことはもちろん、辛いこともたくさん経験します。それまで連れ添ってきた配偶者の死や、大切な友人たちの死など、とてつもない淋しさを感じるような出来事が起こってしまいます。
また、定年退職することで、それまで仕事人だった人は、心にぽっかりと穴が空くような感覚になることがあるといいます。それまで毎日関わってきた社会との接点が一気になくなると、虚しさや孤独を感じるのも無理はありません。
さらに、身体機能は否応なく低下してしまうため、さまざまなストレスを感じてしまいます。ぼくの父親は、趣味のゴルフを仕事を引退してからも続けていますが、ここ1年ほどは以前のような飛距離がでず、身体が衰えたとかなり落ち込んでいました。
ぼくから見れば、そんなに落ち込まなくても…と思うのですが、自分が「老化」していると感じ、あれもこれも出来なくなってきていると絶望するようです。
このように孤独や身体の衰えへのストレスが続くと、心身にうつ症状が起こり始めます。
- 頭痛、腹痛
- 食欲不振
- 睡眠不足
- 吐き気
- 目眩、耳鳴り
- 不安でたまらない
一人暮らしの場合は、とくに孤立しやすくなってしまいます。できる限り、社会とのつながりを持つようにしてみてください。
人とコミュニケーションを取れるような趣味や、習い事を始めてみるのもいいと思います。ぼくの近所の公園では、「ゲートボール」「ラジオ体操」「太極拳」など、さまざまなコミュニティがあり、活気づいていますよ。
またぼくの父親はゴルフの打球場によく練習にいくのですが、顔見知りの人ができて、他愛もない世間話をするのが楽しいと言っていました。スポーツの趣味で人との接点が持つと、孤独感を埋める効果があると共に、身体を鍛えることにもなるので、とてもおすすめですよ。
うつ病の傾向にあるのかは無料でチェックできる
うつ病の傾向をいくつか紹介しましたが、これらの知識を持つことは、うつ病の予防と対策に効果的です。
ぼくはうつ病を患う以前、うつについてほとんど理解していなかったので、防ぎようがありませんでしたが、今では突然うつ症状に襲われたときの回復方法を見つけることができました。例えば、運動をする、サウナに行くなど、簡単なことばかりですが、いち早く対処しているため、今のところうつ病は再発していません。
もし客観的に自己診断をすることが難しい場合には、インターネットでうつ病傾向を無料チェックすることもできますので、気軽に活用してみてください。